意外に少ないADHD当事者の方の記録。
知らなかったことが多くて勉強になる。
多動について(思考関係)
多動は頭の中でも起こる(p14)
同時にいろんなことが次々と浮かぶ(p15)
なので、逆に動けないこともある(同)
「可能性」が浮かぶと止まらなくなる(p104 これが強迫思考と似ている)
脳の多動を落ち着かせるために何かしら常に情報を摂取してしまう(p250)
私も常に本を読んでいるのだが、これかも。
考えるためには、半ば意識して本を手放さす必要があるから。
不注意について
準備をしていないことの反応が遅れる(p26 不意打ちに反応できない)
とにかく眠い(5章 これは知らなかった)
時間管理が苦手なので、物理的に「間隔」のわかるアナログがよい(p108)
予定を間違えるとき、日付を勘違いしているのではない。予定の日付が、今日の日付と一致していない(p158)
これはわかる!!デジタルでいつも遅刻する。
「11日これやるんだよな」としっかりと覚えている。
でも、今日が11日と頭でわかっているのに他人に言われないと気付かないことがある。
家は片づけられないけれど職場での職務は得意はよくある(p251 家事は不確定要素が多いから)
柴崎さんは仕事は決まり事があるからと指摘なさっているが、そうでないこともある。
不注意に打ち勝つほどの緊張感があるのだと思う。
身体性
体幹が弱いので椅子で姿勢を保てない(p123 なので、じっとできないのは多動なのか椅子があっていないかの検討が必要!)
曖昧なa-sexualityがある(私は自分の性別、身体に対して「女」と思えなかったp140)
これはいろいろな発達障害の文献を読むと必ず出てくる。論文もある。
そのほか
思いついていることと、話していることが離れていく。話さなくてもいいことをいつの間にか話している。
「体の内側と外の世界のつながりが悪い」(p203)
なんとなくわかる。
吃音が言葉が多くでようとしてひっかかるように、体内に複数の時間が流れている(p220)
「現在」「過去」「未来」が同じ強度で並んでいる(p223)
友達:めんどくささと付き合う、付き合ってもらうこと
ほどほどの距離、ゆるいつながり、薄目のつながりが心地よい(p257-258)
わかるなあ。でもこれADHDというよりASDぽくないか?
ADHDは「今」感、ASDは「ある状態が続く」感が強いらしい(p278)
かける言葉で気を付けること
「そんな風にみえないから大丈夫」
→ そう見えたらよくないという意味になっている(p154)
あるいは「同じ」=「いいこと」が前提になっている(p158)
うっかりと言ってしまいそう。気を付けないといけない。
診察では言わないだろうが、プライヴェートで言ってしまいそう(発達の問題でなくても)。
気付かない<差別意識>に注意しないといけない。
当事者の方にしかわからないことがあるのだなと改めて思う。
しかし、個別性が高いことも注意が必要。
あくまでも柴崎さんのご経験であるので、ほかの方に合致するとは限らない。
柴崎友香:あらゆることは今起こる 医学書院、東京、2024