先週、うちの奥さんと久しぶりに映画を鑑賞。
20時半の上映回でしたが、お客さんは同世代のおひとり様が数名。
感想は、the昔ながらの時代劇。
私は原作を読んでいないしテレビシリーズも熱心に見ていなかったので、鬼平については聞きかじり程度ですが、それでも幸四郎さんは吉右衛門さんよりも「昔は遊び人でした」感があって、私が知っている限りの鬼平像にぴったりな気がしました。
特にお役目についていない時の、普段の平蔵の雰囲気がいい。
夜鷹相手にちょっとからかうシーンなど、様になっていました。
驚いたのが、あまりお顔が似ていない染五郎さんが大声を出すと、若い頃の幸四郎さんの声にそっくり。
幸四郎さんは役づくりで低い声で話していて少しせりふ回しが怪しく(?)なるのですが、そうなると吉右衛門さんと声がそっくり。
役づくりで少しお肥りになって肉襦袢をいれていると思うのですが、顎まわりがふくよかな幸四郎さんの陣笠姿は、吉右衛門さんを通り過ぎて先代白鸚さんに似ている感じがしました。
写真を並べてみましたが、いかがでしょう。
現・幸四郎さん
おじいちゃんの初代白鸚
おじさんの吉右衛門さん
しかし声は似るんですね。
勘九郎さんの声がもはや先代勘三郎さんと聞き分けられないのと一緒です。
さて他の登場人物。
忠吾は尾身としのりさんがはまり役だったので(好色そうな感じとか)なんとなく違和感があったのですが、佐嶋がかっこいい。
吉右衛門さん版の高橋悦史さんは忠義の人という感じ。
今回は本宮泰風さんで武闘派な感じが、いかにも頼りになりそう。
横顔がちょっとリーアム・ニーソンに似ていました。
みたことある気がしてWikiで調べたらお兄さんが原田龍二さん。
で、奥さんが松本明子さんなんですね。なぜか好感度アップ。
演出は太秦!な感じ(ホントに太秦かは不明)。
切られて「うう・・・」とうめいて「がくっ」と首をたれて死ぬ。
”女を可愛がる”仕草が顎をくいっと持ち上げるとか・・・。
とはいえ、冒頭シーン、染五郎さんがある場所に駆けつける時、ぱっと後ろに足をけりあげて着物をまくりあげるところなんぞ、ああ、こうやって裾をあげるのかと、さすが着物の扱いに慣れた歌舞伎役者と感動。
残念なのは2つ。
平蔵の”原罪”が今回の出来事の発端なので、悪と正義の本質的な違いは何かというテーマになったと思うのだけど・・・。
台詞はともかく幸四郎さんの演技が解決不能性を示唆しているようで、さすが名優です。
もう一つが立ち回り。
たまに人を切った刀をそのまま鞘に納めてしまう場面があって、おいおい血を払えよと。
幸四郎さんはちゃんと振り払っていました。
あとラスト。
私だったらあの乱闘で、実は脇差の方が室内で有利なことが分かるよう、敵方の刀が鴨居にひっかかって折れるとか、そういう描写を入れるんだけどなあ・・・。
まま、ただのオタクのたわごとです。
観終わって、奥さんと「やっぱり梶芽衣子は凄みがあったよね」(中村ゆりさんには申し訳ない)、あと「仙道敦子さんだといつ気づいたか」(仙道さんに申し訳ない)を話しながら帰りました。
面白かったです。
「鬼平犯科帳 血闘」 出演:松本幸四郎、市川染五郎 2024年5月公開