仕事で使った(これからも使うかも)ところをメモ。

 

 

 医神アスクレピオスやヒポクラテスは触れることを重視していた(p23-25)

 

 5-19世紀まで英仏でRoyal touchなるものがあった(p27 知らなかった・・・)

 

 Francis Achley-Montagu:「皮膚はもっとも大きな感覚器官である」(p52)

 

 アッカーマンらの研究

 滑らかな物を触った群とざらざらした物を触った群に分けて、触れた後に他人にどう接するかを調査した。

 滑らか群の約70%が利他的。

 ざらざら群の約70%が自己中心的に振舞った(p67-68)

Ackermann JM et al. Sciences 328; 1712-1715, 2010

 

 C触覚線維:5㎝/秒の速さで動くものに刺激されると最も活動し、それ以上でも以下でも活動は落ちる。

 C線維は、扁桃体、交感神経系、副交感神経系、島部(身体イメージ、空間認識と関連)、前頭葉眼窩面に影響する(p76)

 

 スウェーデンの「タクティール・ケア」:認知症のBPSDによい。

 手と背中をかなりゆっくりマッサージする(p80)。

 

 スティーブ・ゲストらの研究

 素手だけの場合は、他人にマッサージしてもらうと快がある。

 クリームやオイルをつけると、自分でマッサージした方が心地よい(p86-87)

 (引用文献載なしで不明)

 

 不安や恐怖と痛みを感じやすくなる(p91-92)。

 逆にいうと、触れられることで安心感が強まり、痛みが軽減するだろう。

 

 ティファニー・フィールドらの研究

 うつ状態の子ども約50名に、1日30分、5日間、マッサージをした。

 対照群は、同時間・期間、リラックスできるビデオを視聴する。

 結果は、マッサージ群で、うつ、不安の軽減、コルチゾールの低下、睡眠時間の延長が有意に生じた。(p97)

 Field T et al. J Applied Develp Psychology 17;37-50, 1996

  *同じ研究GでPTSDでも同様の結果(p101)

 

 ダイアン・トンプソンらの研究

 直近5年のうちに子供を亡くした母親に対し、優しくなでることを1時間/日、2週間の期間で、合計6~8回行った。

 その結果、絶望感と離人感、身体愁訴の軽減を認めた。(p98)

 (引用不明)

 

 クロンファー・ベリットらの研究

 愛する人をがんで亡くした方を対象にし、手足のマッサージを週1回、8週間行った。 

 その結果、ストレスの軽減を認めた(p99)。

(引用不明)

 

 イレーン・ルンドらの研究(?)

 どのような触れ方でオキシトシンが分泌されるかを検討。

 触れた瞬間は分泌されず、5分すると分泌される。

 長く触れても分泌量は増加はしない。ただし触れ続けていると10分は分泌し続ける。(p119-120)

(引用不明)

 

 

 

<感想のようなもの>

 ゆっくりと5分以上(10分以上はあまり意味がない?)マッサージすると安心感やリラックスした感覚を与えることができるということか。

 

 中高で陸上部だったころ、練習後に部員同士でマッサージしあっていた。今は、部活から帰宅した子どもたちに「お父さんのマッサージは気持ちいいから、やってくれる?」とせがまれるので、足のマッサージをするのだが(陸上部だから足のマッサージしか知らない)、気のせいか子供たちが少し落ち着くようだし、自分でも驚くのが、自分が触っている子どもたちの足の部位と同じ自分の足の部位が少し温かくなるのである。

 不思議なものだ。

 

 ところで触れただけで相手の感情を察知できるという実験もあり、「不埒な感情」(伊藤亜紗「手の倫理」)で触れる手はすぐにそれと分かるという。

 というか、分かる分からないに関わらず、そういう触れ方をしてはいけない。

 

 

 

山口創「手の治癒力」 草思社、東京、2018