疲れが溜まっていて迷ったのですが、リフレッシュのために行くことに。

 が、寒さで鼻炎になり、薬を飲んだら眠い。最悪。

 なるべく行きの電車で眠ったものの・・・・

 

 

 面白かった!

 特に前半は眠気がふっとびました。

 

 大ホールの3階で聴いたので確かではないですが、Youtubeにアップされた演奏よりも音色が柔らかい。

 また、かなりゆっくり演奏していたと思います。

 とはいえ第一変奏や第五変奏などはバリバリとハイスピード。

 でも一音一音でニュアンスの変化がある。

 

 目立った特徴をいくつか。

 

 ペダルの使い方。

 音の輪郭をはっきりさせたい時、残響を目立たせたい時で、細やかに踏み分けているようで、ちょっと聞いたことがない演奏。

 

 繰り返しを必ず弱音にする。

 まるでエコー(<残>響)か<影>のようで物悲しさが強まります。

 

 変奏間の演奏を変える。

 最期の音を響かせたまま次の変奏に入ったり、しっかり間をあけたり、一瞬だけ間を作って次に移るなど、これはCDに入るのか?という演奏でした。

 前後の調性で分けているのか、確認用にメモしたかったのですが、会場が完全に真っ暗で、持っていたペンは何の役にもたたず。

 私の鳥頭では思い出せず、無念。

  

 それから装飾音を控えめにしていて、印象が涼やか。

 

 

 興味深かったのが第十五変奏。

 Ariaとほぼ同じテンポ設定。

 で、なるほどと思ったのが、今まで意識していなかった(というよりそこまで耳が良くないし楽譜も読めない)のですが、真ん中の第十五変奏はト短調だったのですね。

 Ariaはト長調。

 同じ(響き)だけれども、より重たい何かが”始まる”という印象を受けました。

 

 あと第五変奏。

 広い会場のせいかもしれませんが、アルペジオ部分を抑えているように聞こえ、ポン、ポンと音が背景から浮かび上がる、飛び出してくるようで楽しかったです。

 

 第三変奏は、カノンで次のメロディーの頭の音だけポーンと先に出てくるのだけど不協和音になっていて、オラフソンさんはその音を抑えていました。

 私が聴いているCD、聴いたことがある演奏(レオンハルト、よく聞くアンタイ、あと忘れた3-4枚)で、同じような弾き方をしているものを思い出せません。

 おおむね、しっかり音を出してカノンを導いているようにしていたと思います。

 オラフソンさんのようにすると、音が微かに姿を現し、その後、メロディーがとうとう生まれてくる感じになります。発見でした。 

 ちなみにYoutubeでは、この抑え、目立たないです。

 

 ・・・しかし、私にとっての鬼門第二十四変奏前後で、とうとう意識消失。

 残念。

 第三十変奏で「ああ、終わる・・・」という寂しさを感じる余裕なく、眠気と戦っておりました。

 

 

 好きな第三十変奏だけは意地でも起きると頑張ったのですが、ウトウトしつつ聞こえた演奏は、私好みのテンポを遅めにしたがっちりとしたものでした。

 しかも立派すぎない(うるさすぎない)し、気持ち速めになる箇所も。

 融通無碍。

 

  

 この方のバッハのオルガン曲をピアノで演奏したアルバムが素晴らしく、私はそちらが好みです。

 オルガンでは神々しいけど、どこか頭を押さえつけられているように感じるのですが、同じ曲がピアノだとこんなにやさしく聞こえるのかと発見がありました。

 

 

 今回のゴルトベルク、お若さもあってか「いじりすぎ?」な時も正直ありました。

 オラフソンさんのゴルトベルク、10年後、20年後に変わっていそうな気がします。

 「今の」オラフソンを、まさに今、もっとコンディション良く聞きたかったです。

 

 ああ、もったいない。

 

 

 

「究極のゴルトベルク ヴィキングル・オラフソン+清水靖晃&サキソフォネッツ」

12月3日 すみだトリフォニーホール