これまた面白くて、出張先で泊まったホテルと、帰りの新幹線で読み終わった。
もう少し若かったら、この方法を本格的に勉強したかもしれないという思いと、若い頃はこの方法の良さが分からなかっただろうから、この本に出会っても勉強しなかっただろうなという思いで、複雑な気持ちに。
内面をいじくるような、「蓋は開ける」ような、余計なことをしない。
過去を詮索しない。したがってあまり意味のない原因探しをしない。
考え方を変えることでもない。
行動を変えることでもない。
逆に、考え方や行動を変えないように指示することでもない。
みんなでぞろぞろ集まって、なんだか人工的なルールで対話することでもない。
そもそも言葉で勝負しない。
感情をしっかりと体験すること。
それも身体的な意味も含めた感情。
なのでフェルト・センスに似ている方法でもある。
ただし、受ける側にそこそこのセンスがないと、うまくいかない方法ではないかという気がするが、それも治療者の腕次第なのかもしれない。
以下、なるほどと思った点だけ。
今の自分にはぱっと出来ない技法。
ちょっと残念なのがタイトルとカバー。
「癒す」(という、私の感覚では、怪しい言葉)や「あなたのカウンセリングがみるみる変わる」(という、私の感覚では、煽り文句)は不要ではないかと思う。
とはいえ、「なんとかセラピー」ではなく「実践メソッド」なのは素晴らしいと思う。
もし「セラピー」という言葉がついていたら、「またなんとかセラピー?もういいよ」と、私は本書を手に取らなかったと思う。
あとヤスパースの真正性とつながる記述があって、ちょっと嬉しい。
花川ゆう子:感情を癒す実践メソッド 金剛出版、東京、2020