私の中では「仕事ものジャンル」なアニメ。

 最近、1stが深夜に再放送されていて、今更ハマりました。

 

 気乗り薄な子供1を「声優さんが豪華」ということで誘い、一緒に鑑賞。

 なので、1stだけを飛ばし飛ばししか見ていない付け焼刃ファンの感想です。

 なお、子供1は「面白かった。私も見直そうかなあ」とのことでした。

 

 

 二つの対立軸があって、一つは人とAI、もう一つは正義と法。

 

 ラスト近くで「人にしかできない行動」を主人公がする。

 ある装置が良い使い方も悪い使い方もできるという設定。

 彼女はあることを信じて、または直観で行動する。

 「信じる」も「勘」も、論理的に計算するAIにはできない。

 

 正義は「正義感」というくらいだから感情が入りこむし、個人の価値観や文化依存度が高い。

 そもそも正しいとか善いとかの定義が難しい。

 法は、かつての集団の掟、本格的にはローマ法(ほとんど商法だったはず)に由来し、個々の正義の抽象化で、集団の秩序を守ることが優先。

 感情的要素はなるべく排除され、個人の立場によっては納得できない、つまり正しいとか善いと思えない結果を導いてしまうことがある。

 

 正義に傾きすぎると私刑・リンチを誘発する。

 法に傾きすぎると、立場によっては個人の権利が蹂躙されかねない。

 じゃあ、どうするの?を考えさせる映画でした。

 当然、答えは無いですが。

 私の考える最適解は、主人公の台詞です。

 「歴史に敬意を払いなさい」

 

 

 精神(感情?)を分割divideできる装置(divider)もあるという設定で、物語の中では、人を殺傷することで起きる負の感情を恐らくdivideして別の装置に転送できるらしく、その結果、そのシステム全体が宗教性を帯びている。

 たぶん”救済する”からですね。

 これも面白い設定でした。

 

 ある状況の男は負の感情に耐えきれず、薬を大量に飲んでいてかわいそうでした。

 最後もかわいそうだったけど。

 

 

 狡噛さんと宜野座さんの会話もよかった。

 二人が互いを素直に認めあう関係に再びなる。

 

 

 ある任務を失敗した主人公に狡噛さんが声をかける。

 「今は目の前のことに集中しろ。その後に思う存分泣けばいい」という主旨。

 

 「自分を責めるな」は半分嘘だし、自責的な本人の気持ちに沿っていない。

 「くよくよするな」は、ただの説教。

 

 「今は目の前のことに集中しろ」=「仕事をやりとげることが、今回の失敗で命を失った人への弔いになる」という慰め+「仕事に集中しないとお前の命も危ない」という配慮。

 「その後に思う存分泣け」=「泣いてもいい。そういう状況であることを、俺もわかっている」という共感。

 

 同じ台詞でも乱暴な口調だと、「泣いている場合か」という叱責になりかねない。

 狡噛さん(声:関智一さん)は静かな口調なので、慰め+配慮+共感にちゃんと聞こえる。

 

 すごいぞ、スネ夫(声:関智一さん)!

 さすが、ジャイアンに気を配ってきただけのことはある(たぶんちがう)。

 すごいぞ、ウィスパー(声:関智一さん)!

 さすが、ジバニャンをサポートしてきただけのことはある(やっぱりちがう)。

 

 

 丁寧な演出なので「細やかに絵が動く快感」も味わえました。

 

 私が気づいたのは、主人公がソファから立ち上がるシーン。

 ビジネス用の少しタイトなスカートなので、座った時におそらく少し上にあがってしまい、皺もついていそうなので、立ち上がると同時にすっと手を後ろに回していました。

 細かいなあと感心(気がつく私もどうかしている)。

 

 子供1は、狡噛さんがベッドから半身起こすと、枕がふわっと元の形に戻っていたことに気がついたそうで、「すごい、すごい」と話しながら帰宅しました。

 

 

 今回の狡噛ポイントは三好達治。

 私は一冊も読んだことないので、読むことにします。

 もう注文しました。

 

 

 

 

「劇場版PSYCHO-PASS: PROVIDNEC」 劇場公開 2023年5月