ここ数週間、とにかくしんどかった(しんどい)。

 

 ずいぶん前に購入した本を実践。

 

 

 体の感覚に注目する点は、ジェンドリンのフェルト・センスに似ている。

 認知行動療法は、考え、感情、行動などを書くことから始めるが、この「書く」が私にはぴんとこないというか、そもそも面倒だった。

 今、考えていることを書けといわれても、現に考えていて、一応は自分では分かっているつもりのことに、なぜ二度も手間をかけるのだという、別の意味で面倒な発想だった。(もし自分が患者になったら、こんな七面倒なことを言う患者の担当になりたくないと我ながら思う)

 

 

 最近、理解できたのが、考えや感情や行動を「書く」のはすべて言葉を通しているので、言葉にしたところで本当に「分かる」ことなんてたかが知れているではないかと、どこかで思っているらしいということだ。

 自分は言葉をあまり信用していないらしい。

 そして、患者さんの中には私のような発想の人がいるかもしれない。

 

 

 伊藤先生のスキーマ療法は、身体感覚を大事にしろとおっしゃる。

 そして、それを言語化して、何かの言葉に置き換える、名付けるのだが、私のような理屈っぽい頭でっかちは、そういうことをすると元々の身体の感覚からどんどん遠ざかってしまう感じがする。

 

 私はとにかく「そのまま言葉にする」だけにして、それを名付けないようにした。

 「胸のあたりが重たくて、右肩が鈍く痛い。あ、今、ドキドキし始めた。頭もぼんやりする・・・」のような感じ。

 

 感情や感覚などを言葉にして名付けることを外在化というのだが、私の場合、感覚や感情に注意を向けた段階でもう外在化しかかっているようで、なまじ名付けると「外」在でなく「私と関係がない」存在になってしまう気がする。

 

 

 ・・という感じで、治療法を自分でやってみると、名付けて外在化して良い方と、私みたいに外在化で却って自分から遠のく(知識にしてしまう)方がいるのではないかと、今後、実際に治療で使う際のヒントを得た気がした。

 

 ・・・という職業的満足感で、少しすっきりした。

 

 

 すぐに役に立ったのは第1章(さきほど、ある方に用いたばかり)。

 

 私自身もじっくりやってみようと思うのは第8章。

 スキーマ療法の一番重要なところで、実は別の本で勉強しようとして挫折したところ。

 これくらい簡略だと、ちょっとやってみようかなあという気持ちになる。

 

 

 

 

伊藤絵美:セルフケアの道具箱 晶文社、東京、2020