町、道をフェティッシュに楽しむ。

 能町さんファンにとって待望の続編。

 

 

 ファンでない方も、町、道、地図が好きな方にはお勧め。

 

 

 知っている場所は、思い出してぼーっとする。

 知らない場所は、空想してまたぼーっとする。

 

 ストレス解消にとてもいいです。

 なにしろ、余計なことを考えなくなる。

 さっき仕事でなんとなく自己嫌悪になったので、これで心を無にします。

 

 

 最初の麻布のページからわかる、わかる。

 かなり前、南北線の最寄り駅からサントリーホールに向かって神谷町駅方面に歩いたことがありました。

 コンサートが始まる前で夕方5時か6時でたぶん冬。だからあたりは真っ暗。

 そして、眼前の光景に、オサレで私の人生ともっとも縁遠い麻布にこんな場所が!と大変な衝撃を受けたことを覚えております(p14-17)。

 でも、今は再開発で痕跡もないそうです。

 もったいない。

 

 

 玉川学園前駅あたりの話もわかる。(p30-33)

 あそこは駅北口がいい。

 駅前は高度経済成長期な雰囲気。

 離れて見える玉川大学は土地の起伏を活かした欧風な造り。

 どういう感情で眺めればいいのかわからない風景で、しかも遠近感が微妙に狂ってしまう不思議な雰囲気で、私は好きです。

 

 

 大泉のあたり(p46-49)、昔、住んでいたので肌感覚でわかります。

 23区な雰囲気なし。

 高校で「埼玉県練馬区」と揶揄されたものです(同級生の発言で私も被害者です)

 大泉学園のショッピングモール(p106-109)、友達と行きました。

 本書で拝見し、月日とは残酷なものよと諸行無常の響きありな気持ちに。

 キラキラしていたのに。

 

 

 本書でぜひ行きたいと思った場所。

 

 東中神のロータリー(p150-153)。

 十字路ではない交差点で、ヨーロッパによくある、あれ(下図)。

 「あ、曲がり損ねた」「あ、また曲がり損ねた」「ああ、まただ・・・あれ、どこで曲がるんだっけ?」とぐるぐる回りたいです。

 こういうやつです。 Gazoo.comから転載

 

 竹山団地(p86-89)。

 なんと「宙に浮いている」団地。

 写真を見て、しびれました。

 子どもたちが大喜びしそう、というか、絶対に私が大はしゃぎです。

 

 県立飯能高校(p142-145)。

 行きたい!

 

 

 

 

 能町さんは1979年生まれ、北関東の某市でお育ちになったはず。

 私も70年代生まれで、南関東のどこかに住んでいました。

 

 70年代の都内通勤圏は無機質な団地が整然とならび、近隣にはもともと住んでいた方々の家が、団地と対照的に不規則に点在。

 そして団地はたいて私鉄の駅とセットで造成されていたので、駅前には古い店と団地に住む若夫婦向けの新しいスーパーマーケットが並んでいた。

 新旧が無秩序に混在していた。 

 

 それが今となっては団地、周辺の街づくり自体が古びて取り残され、かつての新旧が逆転、または新しかったものが古くなり新旧が混ざりあっている。

 

 こういうの、魅力的です。

 

  

 

 

 

 

能町みね子「ほじくりストリートビュー ザ・フューチャー」

1600円+税

交通新聞社

ISBN 978-4-330-05921-1