2度目です。
初見の感想は以下に書き散らかしました。
今回の観賞は珍しく家内の発案。
理由は「中村佳穂さんの歌をちゃんとした音響で聞きたい」。
なので、4DXで見に行きました。
一度目は「ぼくは、つまんなかったー」と言っていたこども3も、今度は「ちょっとわかったから、おもしろかったー」そうです。
体調が今一だった私も二回目だし寝るかなー、寝ちゃおうかなーと思っていたら、やっぱり面白くて、最後に案の定泣いていました(いい歳して、ただのバカ)
ただ二度見ると、ああとか、へーという箇所がありました。
以下、ランダムに。
例の親子の動画が出てくる時、同時に表示される周りのウインドウのニュース記事が児童虐待関連のものばかりでした。
伏線がはってあったんですね。
でも、あれ、一瞬過ぎて、初見ではわからないよなあ。
あの5人の美熟女の方々、すずのお母さんの歌友達だったらしい。
5人の中の1人が留学中の体験を話すシーンで、すずの傍に全員で映っている写真がありました。
すずのラストの行動の伏線部分になっていると思います。
あとカミシンくんがインター・ハイに出場することが、校内にきちんと掲示されている。
そもそも冒頭あたりで教室の出入口にインター・ハイのポスターが貼ってあることが描写されていたのですが、中盤あたりのシーンで、よくある「祝・XXくん インター・ハイ出場」がそのポスターの上にきちんと掲示されていました。
その後のおじさんも胸キュンな駅のシーン。
いろいろあって思わず顔を覆ってしまうルカちゃんと、逃げようとしてすずにつかまり「俺、女と何話したらいいかわかんねーよ」とルカちゃんに筒抜けな大声で困りはてるカミシンくんは私のツボでした。
その時、すずが「カミシン、インター・ハイに出るの!」と驚いているので、どうやらこのことは校内でほぼ誰も知らない、でも本人はそのことを気にしていないようなのが、なんとも映画の中で見る彼らしくて私は好きです。
子供1、どうせなら彼みたいな男の子を連れてきてくれ。
あ、でも結婚となるとたぶん大変だろうから、彼みたいな男はやめておくように(余計なお世話)。
歌おうとすると嘔吐してしまうすずが、人前で、といってもUというヴァーチャルな世界の中で、ただし本人は真の姿という捻りの中、初めて歌った時、一瞬思い出すお母さんとの記憶では雨が降っていないこと(たぶん)。
2回目で初めて気づきました。
その後、しのぶ君も同じシーンを想起しますが、そこでは雨が降っているので、本当はやはり雨は降っていたのでしょう。
あの時、すずの中で記憶が、より肯定的なものに更新されたのだと思います。
お母さんの事情を理解し、お母さんへのわだかまりが解消されたということなのでしょう。
唐突に思えたクラス内でのSNSいじめ未遂エピソードですが、ちゃんと流れがあったんですね。
まず、竜がUの中で誹謗中傷されており、あることないこと噂が垂れ流しになっているシーンがある。
そのあと、すずも同じような中傷に巻き込まれるという筋になっている。
世界中で使用されるUの中か、田舎の高校のLineの中かという違いはあるけど、やっていること、やられていることは同じ。
ヒロちゃん(YOASOBIのikuraさん、やっぱりうまい。声優さんになれそう)、物理が得意みたいだけど、本当は文系・芸術系(?)かもしれない。
Bellの服装とか、舞台など、彼女が考えているし、彼女が持ち込むPCの横に置いてある本、芸術系が多いというのは前回も書きましたが、やはりありました、「山月記」。
しかも「ちいさきものへ・山月記」になっていたと思います。
「小さきものへ」は妻を失った男がその子たち(つまり母を失った子たち)に書き送った体裁の短編小説。
これは、あの兄弟(ともくんとけいくん=知くんと恵くん)やすずと、同じ境遇の子たちに送られた小説です。
「山月記」は、ナルシシズムの問題は横に置いておくとして、変身譚と考えれば本作も竜に「変身した」という意味で共通しています。
これらは伏線ではないですが、たぶん監督なりの理由があるのかなあと思ったりします。
でなければ、私の得意なノイローゼな深読みです。
細かい突っ込みどころはあるとして(Uに同期しながら河原を走ったら、たぶん転ぶよ、すず!とか)、物語の構造はよくできていると思います。
あとパステルカラーというか中間色が多いUの色彩もきれいだったし。
ラスト、彼女一人だけ東京に行かせるのは確かにいただけないと思いますが、まま、そういうことの良し悪しの映画ではないので。
面白い映画って何度見ても飽きないし、やっぱりテレビじゃだめだなあと改めて思いました。
映画館で見る方が明らかに集中しているからです。
まだシネコンなどなく、映画館の入場が自由だったころを思い出しました。
気に入った映画に出会うと、ずーっと映画館に座って何度も繰り返し見て、見るたびに発見がありました。
あの頃は、映画館で観るか、封切り数年後のテレビ放送を愉しみに待つしかなかった。
だから、今よりもはるかに丁寧に映画を見ていたと思います。
あ、あとmillennium paradeはやっぱり偉大です。