変なタイトルですが、最近の松坂桃李さんのご活躍に目を見張る思いなので。

 

 どこで最初に見たかは不明(たぶん「新参者」映画版?)。

 しかし、私が見たあまり数は多くない邦画には、たいていお出になっている。

 

 うちの妻はテレビで「梅ちゃん先生」での彼がよかったと申しております。

 テレビだと私は大河ドラマでの彼を覚えていて、大河は見たり見なかったりなのですが、見ている大河にはお出になっていました(「黒田官兵衛」「いだてん」)。

 

 私がはっきりとこの人は凄い!と思ったのが「日本のいちばん長い日」。

 

 この時の畑中少佐は、岡本喜八版の黒沢年男の男臭くダイナミックな(というか汗臭そうな。岡本版ではみーんな汗だらけ、汗染みだらけ)演技をはるかに超える、決して動的ではない、しかしだからこそ怖い狂気に満ちた演技。

 体つきが薄いのが軍服を通してもわかるのでぱっと見、軍人らしくないのですが、物事が動き始める後半からのファナティックな仕草や表情、繰り返し書きますが、みるみるあらわになる額の青筋など、とんでもなく怖い。

 

 

 それから「蜜蜂と遠雷」の明石。

 音楽の世界に入ることに躊躇して前に進めないでいる役柄。

 自覚はないけれど、進めないのは自分のせいではない言い訳を見つけ出しては現状を変えようとしない、ある一定の年齢になれば無意識にやってしまう狡さを、まったく嫌な印象を残さずに演じていました。

 

 

 今回、DVDで見た「孤狼の血」。

 パッケージのぱっと見が、「やくざ戦争 日本の首領(ドン)」みたいで、佐分利信なんかが「ごにょごにょごにょごにょごにょ・・せんかあ!!」と言っていたり、松方弘樹と菅原文太が、喉がいがいがしそうな発声をしている映画のように思われるかもしれませんが、そんなことはないです。

 何しろ原作が柚月裕子さんなので男のカッコよさを描こうとしたもの(映画はかなりVシネ方向にずらされているけど)。

 

 

 本作の役所広司さんが演じているのは、やることなすこと滅茶苦茶な、しかし筋が通っている刑事さん。

 ただ映画だと「筋が通っている」ところが少し分かりにくい。

 

 若い頃は「三匹が斬る」なんかで破天荒な役も似合っていた役所広司さん、中年を過ぎてから、穏やかで責任をしっかりと取るリーダー役が多くなっていたのですが、最近、また荒々しい役などをなさるようになった(「渇き。」など)。

 とはいえ、どこか無理している感が否めない。

 本作もそうでした。

 

 その滅茶苦茶な男のバディについたのが地元の国立大出の若手エリート警官で、松坂桃李さん。

 この方が主人公。

 

 前半の育ちの良さが滲み出ている立ち振る舞い(というか、実際の彼自身が育ちがよさそう。お父さんは大学の先生、お母さんは養護教師だそうで、そもそも名前だって昨今のキラキラ・ネームと一線を画します)。

 

 その彼の、映画後半からの変貌ぶり。

 徐々に精神的に追い詰められて無表情になっていく。

 そして殴打シーンでの目。

 自分の役割を知り、覚悟を決めた時の目。

 

 

 すごいなあと思って、レンタル屋をうろうろしていたら「あの頃。」が。

 ハロプロのオタクの話(!)。

 どんなふり幅なのでしょうか、この人。

 あややといえば、私世代、直撃なので、こっちも借りて観てしまいました。

 

 

 もう、なんなら「侍戦隊シンケンジャー」まで戻って観ています(ただのバカ)。 

 この人の寂しそうな目。

 本当にいいです。

 

 しかし、戦隊ものって、戦闘シーンを飛ばすと前半は一話あたりに観るのは数分だけ、ところが後半から10分程度と長くなることに気がつきました。

 というか、こんなこと知ってどうなるのでしょうか。

 年々減少傾向の私の記憶容量が、またもつまらないことで使われてしまっています(←これがオタクの性)。

 

 

 ああ、楽しみ、「孤狼の血 Level2」

 鈴木亮平さんも、とんでもない変貌ぶりで、ぶち、いびせえのぉ~

 おそらく「仁義なき戦い」の鑑賞後みたいに「なんじゃ~、何か用事かぁ~。こっちも忙しいじゃけぇ~、はよぉ、言わんかぁ~」とか、似非広島弁を連発して、家族から眉をひそめられることでしょう。

 妻も見に行くと言っているので、真木よう子さんのように「そがいな、やねこい言い方はやめときぃ~」と返事をしてくれることを期待しております。 

 

 で、なければきっとガン無視されます。

 あ、そっちか。

 

 さびしいのぉ~(菅原文太風に眉をひそめて)

 

 

 

 

 

白石和彌監督「孤狼の血」  2017年 日本公開