みなさん、こんにちは。理屈っぽいLEC専任講師の荻原です。
シンプルに。
では、いってみよう!
【商業登記の質問・回答③】
Q.AB二種類の種類株式発行会社において、B種類に既に譲渡制限が係っている場合、新たにA種類株式にも譲渡制限を設けるときは、譲渡制限の「変更」ではなく、「設定」と扱って、A種類株主総会の「特殊決議」が必要になるのでしょうか?
Q.A種株式とB種株式のうち譲渡制限に関する規定が「B種株式のみ役会承認が必要」とある公開会社において、当該規定を「A種株式及びB種株式の両方で役会承認が必要」と変更した場合はどうなりますか?
A.まず、前提の知識を確認しましょう。
①種類株式発行会社において、譲渡制限規定を設定する場合の根拠条文は、会社法108条1項4号です。これは、すべての種類株式に同一内容の譲渡制限を設定する場合も同様です。つまり、A種類株式とB種類株式を発行する会社において、定款で「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を要する」といった規定を定めた場合であっても、これは会社法107条1項1号で譲渡制限を設定したのではなく、A種類株式及びB種類株式について個々に会社法108条1項4号の譲渡制限を設定しているものと評価されます。
なお、この場合の定款規定は「当会社のA種類株式およびB種類株式を譲渡により取得するには~」でも「当会社の株式を譲渡により取得するには~」でも、法律上の内容は同一です。
②商業登記記録上、譲渡制限規定は、他の株式の内容・種類株式の内容の枠とは別枠で管理されています。譲渡制限規定のかかり方によって公開会社・非公開会社が区別されるからです。また、譲渡制限規定の枠は、種類株式発行会社でも“1個”です。
以上を踏まえると、A種類株式とB種類株式を発行する種類株式発行会社において、B種類株式にのみ譲渡制限がかかっていたところ、新たにA種類株式にも譲渡制限規定を設ける場合には、実体上(会社法上)はA種類株式に対する『譲渡制限規定の設定』となります。ですから、A種類株式の『特殊決議』承認を要します
さて、この変更を登記申請する場合、「株式の譲渡制限に関する規定」欄には「当会社の B種類株式を譲渡により取得するには~」とあるわけですから、これを「当会社のA種類株式およびB種類株式を譲渡により取得するには~」と『変更』することになるのです。
なお、これによってこの会社は公開会社から非公開会社に移行します。
非公開会社から公開会社へ移行する場合には、①取締役等の任期が満了する、②機関設計の許容範囲が狭くなる、といった点に注意が必要です。
これに対して、公開会社から非公開会社へ移行しても、①取締役等の任期は当然には満了しない、②機関設計の許容範囲は広くなるので従前どおりでも大丈夫です。
Q.株式移転計画新株予約権がある場合の完全子会社の登記申請書の記載は、「株式移転計画新株予約権消滅」又は「第○回新株予約権消滅」のどちらにすべきですか?
A.実務上、どっちでも大丈夫です。ただ、多くのひな形は「株式移転計画新株予約権消滅」です。こっちで憶えましょう。
と言っておきながら、レジュメは「第○回新株予約権消滅」でしたね・・・・
Q.新株予約権行使期間満了の登記日付って満了日の翌日になりますよね?
A.ごめんなさーーーい。レジュメの誤植ですよね! 第1回で訂正しています。ありがとうございました!
Q.株式移転について質問です。子会社 株A、株Cが共同で株式移転計画書を作成して株Bを設立する株式移転をすることができると理解してよろしいでしょうか?
A。はい。できます。株式移転とは「一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう(会2条32号)」からです。
Q.片方の子会社の決議に不適法な事項があった場合株式移転はできるのでしょうか?
A.株式移転無効の訴え(会828)の対象になるものと思われます。
Q.事業年度変更による役員の任期満了について、どういったことに留意すればいいですか?
A.レジュメP54の最下部をご覧ください。以下にも掲げておきます。
※定款の任期規定又は事業年度の変更があった場合には、現任取締役等(任期中の役員)につき影響が生じる。これらの場合には、現任取締役等につき任期の再計算を行う必要がある。なお、「計算上、過去の株主総会満了時に任期が満了していたことになる者」については、定款変更決議の効力発生により任期が満了するのであって、過去に遡って満了するのではない。
Q.兼任禁止規定抵触のとき、問題文に前役職の退任の意思表示をしていないと注記されていたとき、むりやり退任にしちゃっていいのか、登記できないと判断したらいいのか、どうすればいいですか?
A.非常に悩ましい問題です。当事者(会社・被選任者)の意思を尊重するしかないのです。実務であれば『どうします?』と聞いちゃえるんですけど(笑)。本試験では、書かれたものだけで判断しなければなりませんので、『注意書き』と『本文』とで、どちらの指示がより強力なのかを判断していただき(できるかなあ?)、結論を出すしかなさそうです。
LECの答練では解答が一義的に収束するよう、細心の注意を払っておりますが、本試験はたまに“やってくれちゃう”んですよね。
もし、また、そんなことになったら、少なくとも、私は解答速報会で“激おこ”です。
今回は、あまり理屈っぽくないよう心掛けてみました。
先週の講座の補講は、以上で終了です。
では、あと6日、悔いのないよう、勉強に励んでください。
でも、もう今の時期、健康管理のほうが大事ですよ。