上り坂は常に同時に下り坂でもある。

どちらに進んでいくかの違いだ。

でも、その先に何があるのだろうか?

その何かを得ることで、それ以外の何かをきっと

失っている。

喪失、それから断絶、綻び。

廃墟が象徴しているような、

なくなってしまったのに、まだそこに残っている暖かさ。

それが自分を振り返らせて、足を引き止める。

優しく、残酷に。

多くの祭のために捧げられた本に倣って、

ここでは多くの遺失のために。

そこにないあるもののために。