第9回公演

ホトトギス

時は1970年代の中頃。
ひと昔前に一世を風靡し、「新しい喜劇」ともてはやされたこともある、喜劇一座の座長が、長い闘病の末に亡くなった。その葬式の終わった夜、この一座に夢を託してきた古株の女役者3人がこっそり楽屋に集まる。新座長からないがしろにされ、彼が提唱する「今時の喜劇」に納得できない彼女たち。3人は、昔やった「本当に面白い喜劇」を明日の追悼公演でやろうと計画を練る。
それは昔座長が「女」を喜劇のアクセサリーとしてではなく、それぞれの個性を生かして作った芝居の一つだった。だからこそこの劇団で生きてきたという自負が、彼女たちにはある。
新人文芸部員との騒動や新座長との対立の中で、彼女たちの確執が浮き彫りにされる。だが、その彼女たちは、楽屋に来る途中交通事故で死んでいた。
ここで起こるさまざまな事柄は、彼女たちの去りゆく魂がこの世に残した、儚いが、強い祈りであり、叫びだったのである。

日時
1999年10月
会場
THEATER/TOPS 他
作・演出
鐘下辰男
出演
松金 よね子
岡本 麗
田岡 美也子
山崎 清介
瓜生 和成