こんにちは!ドイツのロックダウンは続いており、息子のオンライン授業の覗き見を楽しんでいるKayです。

先日は息子が”found poem”という簡単に詩を作るメソッドを学んでいたので、私も一緒にやってみたら、初めて英語の詩を書くことが出来ました。ちょっと感動。

 

今日は新聞のコラムはそこそこにして、後半は私たち夫婦の共通の友人でドイツの大学病院で心臓外科医として活躍されていたKさんのお嬢さんが書いた作文を中心に勉強会を進めていきたいと思っています。

 

私たち家族はドイツのとある都市に住んでいますが、ほとんどの日本人の子供たちは日本人学校かインターナショナルスクールに通っています。(ドイツに永住予定の方や両親の片方がドイツ人の方は現地校に通われる方も多いです)

そんな中、Kさんのお嬢さんはドイツの小学校に通い貴重な経験をされています。

そして、小学5年生の時、北海道に引っ越され、中学2年生の時に書いた「日本のいじめ対策は間違っている」が見事総理大臣賞を受賞されました。

SNSにも多くシェアされた話題の作文で、是非これを子供達にシェアする機会はないかと思っていました。

この拙いブログはともかく、この素晴らしい作文のリンクだけでも是非読んでみてください!

 

 

では、コラムを読んでみましょう。

 

サイレントマジョリティーは直訳すれば「物言わぬ多数派」だが、米国では「白人ブルーカラー」の意味が隠されている。米在住の評論家町山智浩さんが『さらば白人国家アメリカ』で指摘していた

・多数派 (反対語:少数派) majority  (antonyms : minority)

・ブルーカラー  工場の制服を着て単純な肉体労働をする人。ホワイトカラーは大学を出てシャツとスーツを着て知的な労働をする人を言う

・「さらば白人国家アメリカ」という本は四年前、トランプ大統領が選挙に勝った時の背景を説明している。

 

注目されるようになったのはニクソン大統領の演説で、ベトナム戦争に反対する人々をマイノリティーだとする一方、サイレントマジョリティーに支援を求めた。労働者層、とりわけ白人が想定されていたという

・ニクソン大統領 1969ー1974までの第37代大統領

ベトナム戦争の反戦運動が過激化していてそれを嫌う多数派や保守層を取り込むことに成功して、当選したらしい。

・サイレントマジョリティ 一般大衆、声なき声 反対語:ボーカルマイノリティ

 

ニクソン大統領が選挙に出馬した頃、ベトナム戦争に対して激しい反対運動ばかり目立っていたが、意思表示はしていない大多数の意見(サイレントマジョリティ)にも耳を傾けまますとニクソン大統領は言って有権者のハートをつかんだそうです。

 

「戦争にそこまでは反対していない」「興味がない」と言う考えは道義的に大声で言いづらいのと同様、ブレグジット(イギリスEU離脱)でも「移民に仕事を取られるのは困る」「他のヨーロッパと協力するより、自国優先でいきたい」と言う意見が本音だった人たちがブレグジットに投票したわけです。

4年前のトランプの大統領選挙勝利もマイノリティだと思われていたサイレントな人々は実はマジョリティだったと言う証明でもあり、それだけ、人々の困窮度合いは大きかったのだと思います。

 

こうした分かる人だけは分かる言葉遣いをするのを「犬笛政治」という。犬を呼ぶため人間には聞こえない高周波の音を出す笛のように、差別や悪意を隠すことができる。トランプ大統領もツイートで「サイレントマジョリティー」と呼びかけ、「法と秩序」の言葉も使った。黒人を秩序に従わせる含意がある

・犬笛政治(イヌブエせいじ) 犬には聞き取ることができるが、人の耳では聞き取ることができない音を発することから、転じて、特定の層を意識して暗号のような表現を使い(特に人種差別的な)メッセージを発信し、人心を操る政治手法のことを指して、「犬笛」と呼ぶことがある

・「法と秩序」law and order ベトナム戦争時代も戦争反対者に対して「法と秩序」と言う言葉が使われた。

・含意(がんい) 表面ではわからない意味をもつということ

 

オリンピックの委員に女性を増やすと女性はおしゃべりだから会議が長引く、みたいなことを森さんが言ってしまい非難されていますが「会議をスムーズに進めるためには喋りすぎるような人はメンバーには入れない方がいいでしょうね」(しゃべりすぎる人=女性の隠語)とだけ言っておけば責められなかったかもしれません!

 

「私に投票した偉大な米国の愛国者は、将来にわたって巨大な声を持つ」「大統領就任式には出席しない」。先日の投稿も危険な犬笛と見られたようだ。就任式に暴力行為を誘発する恐れがあるとして、ツイッター社はトランプ氏のアカウントを永久停止にした

 

ここは実際になんとトランプ大統領が言ったか英語版で確認してください。ツイッターアカウントはもう見られないので貴重です。

 

SNSは多くの人が自由に声をあげることのできるメディアである。誰であれ永久に口を封じるという判断は、危うさを伴う。それほど連邦議会議事堂への乱入事件の衝撃が大きかったのだろう

・連邦議会議事堂への乱入事件(storming of the United States Capitol )ニュースで大きく取り上げられていましたが、 1月6日に起きて、トランプがツイッターなどで扇動したと言われている。5名死亡。

 

SNSの停止についてどう思いますか。ドイツのメルケル首相は私的な企業が表現の自由を奪うことをしていいのか?と疑問視する発言をしているし、GAFAなどの情報企業がものすごい力を持ってしまっていることも事実です。。

 

退任後のトランプ氏が笛を吹く機会は減るかもしれない。それでも確かなのは、犬笛に応じる有権者の厚い層が、これからも米国に存在するということだ。

・「犬笛に応じる有権者」トランプ支持者を犬に例え、暗号を聞き取る耳を持った犬たちがアメリカに大勢隠れているような不気味な表現ですね。

2021年1月12日 天声人語 朝日新聞

 

今後、この乱入事件におけるトランプ元大統領の責任を問う裁判が行われるそうです。(2月7日現在)

バイデン政権はこれからの分断のアメリカを解決していく上で、トランプ元大統領が有罪になっても無罪になっても大変ですね。コロナ、人種差別、中国対応、色々問題は山積みです。

 

トランプ大統領のどういう言動が問題視されているのか。議事堂乱入の前のトランプ大統領の演説の動画の抜粋も一応見てみましょうか。

 

 

 

今回は難しいコラムでしたね。英訳の方が理解しやすいかもしれません。後で英訳を送っておきますね!

 

さて、最初に予告した通り、今回はこれを訳すのではなく、これに少し関連したみんなと同じぐらいの年齢の中学生が書いた文章を読んで、それを訳すのが今回の宿題です。

既に作文は送っていますが、読んできたかな!?いじめ対策に関する作文でしたね。

 

この作文と今日のコラム、何が共通点か気づいた人!?

 

そう、その通り!サイレントマジョリティ。サイレントマジョリティと「いじめの傍観者」はほぼ同じ意味だと思いませんか。

 

サイレントマジョリティに似た言葉は他にも「ポピュリズム」「無党派層」「衆愚政治」などがあると思います。

声を上げない人、意見のない人、意見に流されやすい人ばかりがいると民主主義は上手くいかなくなります。

耳障りの良いことばかりを言う独裁者に影響を受けやすくなり、頼った方がいいのではないか?と思えてきます。

民主主義という制度は性善説が前提です。人間は、利他的で(他人の立場に立って物事を考えられる。反対語は利己的)、良心(正義感、道徳心)のある、よく考える人、であることが前提なのだと思わされます。

 

作文を読んでどう思いましたか!?

 

内容も素晴らしいけれど、文章の構成も素晴らしくて、内容に説得力が増しますよね!

まず、文章の構成が素晴らしい。

以前5パラグラフエッセイの説明をしましたが、この作文は5パラグラフエッセイの進化版です。

 

まず、タイトルの「日本のいじめ対策は間違っている」で結論を述べています。

 

そして、イントロで「日本のいじめの問題は長期化しやすい」ことだと述べ、なぜドイツに比べ日本のいじめは長期化しやすいかを2つにまとめています。

1。ドイツは暴力、日本は無視など精神的苦痛を与えることで、表面化しづらい

2。ストッパーがいない

 

さらに、この二つ目のポイント、なぜ、ストッパーがいないのか。ストッパーになるための3つのポイントを挙げ、

1。正しい判断ができる

2。自分の意見を持つ

3。他人の意見を尊重する

 

さらに、1つ目と3つ目は日本人はできるけれど、2つ目ができていない。

2つ目をできるようにするにはどうしたらいいか?

それを自らのドイツの学級会での経験を元に具体的なアイデアを提案

 

結論 もっと子供達に意見を主張する機会を増やすべき

 

となっています。

 

じっくりこの作文を読んで、この文章を英訳するのが宿題です!

 

作文を一緒に読みながら子供達と日本のいじめはどうだったかと言う話にもなりました。

確かに日本のいじめは暴力は少なく、ただ「からかう」ことが多く、でもその「からかい」がしつこく、長く続くと言う意見が出ました。

 

この作文にあるドイツのような学級会で意見を言い合うことはインターナショナルスクールのアドバイザリー(ホームルーム)の時間に色々とディスカッションが行われているようです。

 

「みんなも海外生活が長いので、その経験を生かして是非日本に帰ってから日本の学校に良い影響を与えていけるようにしてほしい」、と話すと、

「あいつ海外から帰ってきてイキってる」と言われるのが嫌だという意見が出ました。

 

インターナショナルスクールは6月中旬から夏休みなので、日本に一時帰国して日本の学校に3週間ほど編入させてもらえる場合があります。その時の体験を共有してくれた子もいました。いじめられていた友達がいて、その傍観者にはなりたくなかったけれど、だからといって注意もできず、その友達を離れたところに連れ出す作戦などに出たそうです。

 

いじめがあったら「警察に言う」「訴える!」と言えばいいと言う意見も冗談まじりに出ましたが、そんなことしたら、それこそかえっていじめに合いそうですよね。

 

ただでさえ目立つ帰国子女、周りに早く馴染むためには目立つ行動や発言を控えたくなる気持ちもわかります。

上手く馴染んで友達と信頼関係を築いた後に、海外で経験したことを忘れずにいて、その経験を共有できたらいいですよね!

 

では、また来週。最後までお読みいただきありがとうございました。