8月にたくさんのキノコが出てくる狂言「菌(くさびら)」を見てとても面白かったので、今月も狂言(矢来能楽堂 狂言大蔵会)へ。お酒の好きな「福の神」の次は「柑子」。柑子とは日本に昔からあるみかんの一種のことです。三つが一緒に実っている珍しい三つ成りのみかんを主人に代わって預かっていた太郎冠者、三つともを食べてしまって次から次へと言い訳をするコミカルな話でした。続けて、お舅さんに差し上げるお酒を飲んでしまった「船渡聟」、主人の御用をする前に飲み過ぎてしまった「抜殻」とお酒に因む狂言が2つ、そして最後が鬼のお姫様のお食い初めの話「首引」です。親ばかなお父さん鬼と、甘えん坊の娘鬼が登場しました。最後が鬼のお話だったせいでしょうか、その後の附け附祝言では、「俵を重ねて面々に、楽しうなるこそ目でたけれ」と朗々と声が響きました。

 帰りにおみかんを3個ずつお土産にいただきました。日常からちょっと離れ、しかし、今に通じる人間模様を楽しんだ半日でした。

 

最近は小学生や小さな子どもが日本の古典芸能に接する機会がいろいろと作られています。もしかしたら、お子様の新しい興味・関心の的になるかもしれません。