松の幹に藁が巻いてあります。

都立旧古川庭園で。

 

 菰(こも)巻きといい、江戸時代から続いている冬の風物詩。本来は、より暖かい菰の中にマツの害虫の幼虫をおびき寄せ、越冬場所として集まっているところを春の啓蟄の頃、菰ごと焼くのが目的でした。しかし、姫路城と周辺の公園の松約300本の菰に、どんな昆虫が集まっているのかを姫路工業大学の研究者が調べたところ、むしろ、害虫の天敵となるクモなど益虫がより多く集まっており、ターゲットとしていた害虫(マツカレハ)の幼虫はいないということが明らかになりました。害虫の幼虫は菰の中よりも、菰の巻かれた部分の樹皮の中に潜んでいたとのことです。そのため現在では、菰巻きを中止した自治体や公園の方が多くなりました。菰巻きの経費もばかになりません。しかし、害虫防除の目的よりも冬の風物詩として菰を巻く様子を見ることができます。お子様と菰巻きした松を、どこかで見ることができたらよいですね。

 研究でわかることって、いろいろありますね。菰を一枚一枚調べた研究者にも頭が下がります。子どもたちの体験を確かな学力に結びつけるためには、どうして、どうなるのかな、何故、という疑問、こうなんじゃないかなという仮説、そして確かめてみてそうか!とか違ってた!とハッとする経験が大切だと考えています。