江戸時代には虫売りがいたとのこと。

深川江戸資料館にて。
 
マツムシ、スズムシ、クツワムシなどが売られ、スズムシの卵を温めて孵化して早い時期から売る、などということもされていたそうです。
もちろん私は、虫売りが歩いていた時代とは違いますが、上野不忍池の夏祭りで籠に入った鈴虫が売られているのを見た記憶があります。

「虫の声」という童謡もありました。スズムシ、マツムシ、クツワムシ、コオロギ、ウマオイの5種類の昆虫が登場します。鳴く虫としては、このほかにもカンタン、クサキリなどもありますが、今では鳴き声で区別できる人はそうはいないでしょう。
虫の声を愛でるという習慣は、中国にも少しあったそうですが、庶民にも広く定着していたのは日本だけだったと聞きました。
大学の研究室には昆虫の大家が遊びに来てくださっていたのですが、中国の虫かごなどのコレクションをされておられたのも思い出します。また、中国ではコオロギの声を聞くだけでなく、コオロギ同士を戦わせる遊びがあるということで、そのための壺なども見せていただきましたっけ。
 
しかし、日本でももう、鳴く虫を愛でる文化はほぼ滅んでいるといってよさそうです。虫の声を愛でたのは、子どもたちの祖父母の年代までではないかと危惧しています。子どもたちとその両親は、カブトムシ、クワガタ世代なのではないでしょうか。ただ、虫に広く興味をもつ子どもたちの誰かが、そんな鳴く虫に着目してくれたら、これは楽しいと思います。