子どもの頃、丸の内線の赤い地下鉄に乗って、茗荷谷から池袋に行くことがときどきありました。池袋駅の一番端っこには、このブロンズ像があり、子ども(小学生)としては、ちょっと怖い感じがしたのを覚えています。

 この像は笠木季男というデザイナーのデザインによるもので、名前は「マーキュリー」といいます。銀座駅、池袋駅など、主要な駅に置かれていたそうですが、営団地下鉄から東京メトロに事業主が変わった今でも、大きな駅のいくつかで見ることができます。

 マーキュリーMercuryは、ローマ神話の神様で、ギリシャ神話のヘルメスと同じものです。一橋大学の校章は「ヘルメスの杖」、ファッションブランドのエルメスはヘルメスのフランス語読みですし、水銀や水星もマーキュリーです。昭和の子どもはお膝のすりむき傷などに、マーキュロという消毒薬を縫ってもらっていました。その色から赤チンとも呼ばれたマーキュロは、有機水銀化合物を成分とすることが敬遠のもとになり、1973年には国内での生産は修了しています。(成分のマーキュロクロムを皮膚に塗布することは無害であるとされていますが。)

 ロックバンドQueenのフレディ マーキュリー、彼の本名はマーキュリーではありません。どうしてマーキュリーの名を使ったのかは、諸説あるそうです。タンザニアのザンジバル島のストーンタウン(旧市街地)に行ったことがありますが、フレディ マーキュリーはこの街で生まれたと聞きました。

 地下鉄の駅の像からの連想ゲームでした。ただ、子どもの学びも、一種の連想ゲームです。一つ一つを無理やりインプットするのではなく、一を聞いて五を知る、一を聞いて十を知る、そんな学びができるとよいですね。