子どもたちにはのびのびと元気に過ごしてほしいものですが、同時に、場を理解して適切にふるまえる子に育てることも大切です。静かにすべき時、話を聞くべき時、乗り物で席をゆずるかどうか、自分で判断できるようになるように育てたいと思います。いつでも、指示待ちも困りますし、叱られなければ正しくふるまえないのも困ります。言われなければ身支度ができない、持ち物が整わない、などというのも早く卒業させたいものです。

 毎日の通勤・通学では、電車が来ます、白線より下がってください、押さないでください、ドアが閉まります、発車します、と事細かにアナウンスがあり、それを当然と思っていますが、考えてみると、これはいつも大人から事細かに注意されている子どもと同じ状態かもしれません。実のところ注意のアナウンスはほとんど聞いていませんし、何かあれば、注意してくれなかったから、聞こえなかったからと他人のせいにするかもしれません。

 バルセロナのサグラダ・ファミリアの螺旋階段。デザインのすばらしさに圧倒されます。単に昇降の場だけではない高揚感がありました。同時に、日本だったら必ずありそうな、気をつけてください、押さないでください、モノを落とさないようご注意ください、静かにおりましょう.....などの注意は、一言もありません。今は、各人がこの螺旋階段のすばらしさを感じながら降りる時なのですから。