「パンとサーカス」、すなわち食糧(パンあるいは穀物)と娯楽(サーカスではなく競技場での戦車競走など)さえ与えておけば、国民は不満をもたないという古代ローマの政治戦略は有名です。ローマ市民には、定期的な穀物の配給もあったそうです。「パンとサーカス」は古代ローマだけの話ではないと、時々思うことがあります。食べ物を娯楽的に扱うという気持ちがあるとすれば、古代ローマよりもっと悪いかもしれません。
パンと言えば思い出すのは、トルコです。トルコはパンの消費量が多いことでも知られています。パンの重要性から基本的なパンの重さは法律で定められており、エキメッキという定番のパンは、(およそ200グラム以上からと)最低の重さが決まっているそうです。また、定番のパンの最低価格も、毎年、政府が決めていると聞きました。日本のお米と似たところがあるかもしれません。トルコでは、おしゃれなパン屋さんというよりは、バゲットのような定番のエキメッキを無造作に売っているお店が目をひきました。
確かに「パンとサーカス」とまでは言いませんが、一定の品質のパンが急な値上がりの心配なく買えることは、生活においては安心でしょう。トルコは美食の国でもありますが、このように堅実なところもある国だと感じました。