@本多劇場
中屋敷法仁リーディングドラマ
「ぼくらが非情の大河をくだる時-新宿薔薇戦争-」
[作]清水邦夫 [演出]中屋敷法仁 [出演]多和田秀弥 / 安里勇哉 / 唐橋充 / 田中穂先
昨日、行ってきました。
Bチーム公演。
事前に読んだあらすじ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
舞台は都内の公衆便所。
そこは深夜、男が男を求めて集まる、なまめかしい無法地帯。
正体不明の詩人がどこからともなく現れ、便所の壁や柱を愛撫し始める。
「満開の桜の木の下には一ぱいの死体が埋っている。深夜の公衆便所の下にも一ぱいの死体が埋まっている…」
詩人はそんな妄想を信じて壁や柱を愛おしそうに愛撫する。
そこに詩人が入るために作られた、白木の棺桶を担いだ男が2人。
詩人の父と兄である。
奇行を繰り返す息子を追って、夜な夜な棺桶を担いで走り回ることに、心底疲れ果てた、父。
幻想の中にいる「強くたくましいおにいちゃん」でいるために、弟の混沌に寄り添い続けている、兄。
「にいさん、ぼくは気狂いじゃない。にいさん、ぼくを見捨てないで。にいさん……!」
詩人の叫びは、白昼夢のような真実を浮かび上がらせ、その幻想はやがて非情な現実となってゆく……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
詳しい背景や出来事はほとんど語られず、物語が進行していくため、
難しいと感じる人がほとんどだと思う。
なのだけど、何だろう?
この後に残るヒリヒリした感じ。
見終えて劇場から出てもなお、脳内がしびれているような感覚。
多分、物語の細かい解釈や出来事についての推論は、ほぼ観客自身に委ねられている。
わかるのは、詩人(弟)が、おそらく人を刺したことがあること。
その兄は、たった2分だけ同じ時にためらってしまったこと。
だから、多分弟を裏切ったことが兄の深い後悔となっている。
父親は、弟と(もしかしたら兄とも?)血がつながっていないこと。
そのせいか、詩人を突き放した目でみているようす。
他にも色々と解釈の種はばらまかれているのだけど、あまりきっちり決めつけない方がいいのかもしれない、と思う。
「思想」とか「統制」とか「哲学」といった単語が散りばめられ、1972年に発表されたということから、当時までに多くあった学生運動など何らかの社会的なものごとを反映しているのだろうな、とは見ててわかった。
そしたら、入口でもらったチラシの一番上に、発表当時の新聞評が載ってて、「連合赤軍の事件など」とあったから、やっぱりそう。
でも、その紙を見る前に私が考えたことは、これって現代に起きてる家族間のいろいろな問題にあてはまるのでは?ってこと。
劇中で「気ぐるい」という言葉がたびたび出てきた。
昔は、精神病というだけで忌み嫌われた。
いや、それは今でもそうかもしれない。
○○障害という風に、ずいぶんそういう研究は進み細分化され、治療法も確立されてきたけれど。
そういう障害を持った者が、家族や職場にいるのがまだ当たり前ではない社会。
家庭内介護をめぐり、暴力や心中など様々な事件も起きている。
幼い子供への虐待なども絶えない。
ホモセクシャルをはじめ、自らの性に違和感を持ち、生きづらさを感じて悩む人やその家族も多い。
見終えた後の混乱した頭で、なんとかまとめようと思ったら、すごく身近なところに結びついたという感じ。
ま、あくまで私独自の解釈だけどね。
だから、この舞台を犯罪者の家族とか、
何らかの病を精神にきたした者がいる家族の話だと思って振り返ると、本当に痛くてつらい。
演じ手の力量が問われるこのお芝居。
今回、詩人役の多和田くんの気狂い度合いがものすごくって、本当に驚いた。
手塚とか、ニンニンとかでの多和田くんしか知らず、純粋な面から残酷な顔まで多彩すぎる演技ですごかったです。
唐橋さんは、多分ペルソナぶり。
ちょっと枯れかかった中年男性役だけど、時には叫びをあげ、時には笑いも誘い、
これまたピッタリだった。
安里くんは、声が素敵だから朗読劇にはすごく合うと思ったら、予想通り。
主人公の兄で、すごく難しい役どころだと思ったけど、声を振り絞って語るところとか、弟を見つめる横顔とか、すごく惹き付けられた。
(あら、そういえば、ざくステでも安里くんの横顔をガン見したよね、私(笑))
ト書き役の穂先さんは、最初から終幕まで、ずーっと出ずっぱりで、実は一番大変なのかも。
メインの人物より目立ってはいけないだろうし。
ずいぶん長々書いてしまったけど、最後に。
男性トイレって、女性のとは大きな違いがあるのね。
それは、他人が排泄中の時に、その姿が見えるということ。
女性は必ず個室なので、そういうことはあり得ない(国によっては顔が見える個室あることもあるけど)。
トイレで見ず知らずの人の無防備な姿が視界に入るということがない女性ではわからない心理が、男性トイレでは生じることがありそうだな、と見てて思った。
(3月21日補記しました)
中屋敷法仁リーディングドラマ
「ぼくらが非情の大河をくだる時-新宿薔薇戦争-」
[作]清水邦夫 [演出]中屋敷法仁 [出演]多和田秀弥 / 安里勇哉 / 唐橋充 / 田中穂先
昨日、行ってきました。
Bチーム公演。
事前に読んだあらすじ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
舞台は都内の公衆便所。
そこは深夜、男が男を求めて集まる、なまめかしい無法地帯。
正体不明の詩人がどこからともなく現れ、便所の壁や柱を愛撫し始める。
「満開の桜の木の下には一ぱいの死体が埋っている。深夜の公衆便所の下にも一ぱいの死体が埋まっている…」
詩人はそんな妄想を信じて壁や柱を愛おしそうに愛撫する。
そこに詩人が入るために作られた、白木の棺桶を担いだ男が2人。
詩人の父と兄である。
奇行を繰り返す息子を追って、夜な夜な棺桶を担いで走り回ることに、心底疲れ果てた、父。
幻想の中にいる「強くたくましいおにいちゃん」でいるために、弟の混沌に寄り添い続けている、兄。
「にいさん、ぼくは気狂いじゃない。にいさん、ぼくを見捨てないで。にいさん……!」
詩人の叫びは、白昼夢のような真実を浮かび上がらせ、その幻想はやがて非情な現実となってゆく……
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詳しい背景や出来事はほとんど語られず、物語が進行していくため、
難しいと感じる人がほとんどだと思う。
なのだけど、何だろう?
この後に残るヒリヒリした感じ。
見終えて劇場から出てもなお、脳内がしびれているような感覚。
多分、物語の細かい解釈や出来事についての推論は、ほぼ観客自身に委ねられている。
わかるのは、詩人(弟)が、おそらく人を刺したことがあること。
その兄は、たった2分だけ同じ時にためらってしまったこと。
だから、多分弟を裏切ったことが兄の深い後悔となっている。
父親は、弟と(もしかしたら兄とも?)血がつながっていないこと。
そのせいか、詩人を突き放した目でみているようす。
他にも色々と解釈の種はばらまかれているのだけど、あまりきっちり決めつけない方がいいのかもしれない、と思う。
「思想」とか「統制」とか「哲学」といった単語が散りばめられ、1972年に発表されたということから、当時までに多くあった学生運動など何らかの社会的なものごとを反映しているのだろうな、とは見ててわかった。
そしたら、入口でもらったチラシの一番上に、発表当時の新聞評が載ってて、「連合赤軍の事件など」とあったから、やっぱりそう。
でも、その紙を見る前に私が考えたことは、これって現代に起きてる家族間のいろいろな問題にあてはまるのでは?ってこと。
劇中で「気ぐるい」という言葉がたびたび出てきた。
昔は、精神病というだけで忌み嫌われた。
いや、それは今でもそうかもしれない。
○○障害という風に、ずいぶんそういう研究は進み細分化され、治療法も確立されてきたけれど。
そういう障害を持った者が、家族や職場にいるのがまだ当たり前ではない社会。
家庭内介護をめぐり、暴力や心中など様々な事件も起きている。
幼い子供への虐待なども絶えない。
ホモセクシャルをはじめ、自らの性に違和感を持ち、生きづらさを感じて悩む人やその家族も多い。
見終えた後の混乱した頭で、なんとかまとめようと思ったら、すごく身近なところに結びついたという感じ。
ま、あくまで私独自の解釈だけどね。
だから、この舞台を犯罪者の家族とか、
何らかの病を精神にきたした者がいる家族の話だと思って振り返ると、本当に痛くてつらい。
演じ手の力量が問われるこのお芝居。
今回、詩人役の多和田くんの気狂い度合いがものすごくって、本当に驚いた。
手塚とか、ニンニンとかでの多和田くんしか知らず、純粋な面から残酷な顔まで多彩すぎる演技ですごかったです。
唐橋さんは、多分ペルソナぶり。
ちょっと枯れかかった中年男性役だけど、時には叫びをあげ、時には笑いも誘い、
これまたピッタリだった。
安里くんは、声が素敵だから朗読劇にはすごく合うと思ったら、予想通り。
主人公の兄で、すごく難しい役どころだと思ったけど、声を振り絞って語るところとか、弟を見つめる横顔とか、すごく惹き付けられた。
(あら、そういえば、ざくステでも安里くんの横顔をガン見したよね、私(笑))
ト書き役の穂先さんは、最初から終幕まで、ずーっと出ずっぱりで、実は一番大変なのかも。
メインの人物より目立ってはいけないだろうし。
ずいぶん長々書いてしまったけど、最後に。
男性トイレって、女性のとは大きな違いがあるのね。
それは、他人が排泄中の時に、その姿が見えるということ。
女性は必ず個室なので、そういうことはあり得ない(国によっては顔が見える個室あることもあるけど)。
トイレで見ず知らずの人の無防備な姿が視界に入るということがない女性ではわからない心理が、男性トイレでは生じることがありそうだな、と見てて思った。
(3月21日補記しました)
