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『孤島の鬼』、本日千秋楽。


@赤坂RED/THEATER
原作:江戸川乱歩
脚本:石井幸一 (一徳会/K・A・G)
演出:西沢栄治 (JAM SESSION)
出演:藤森陽太 鯨井康介 崎山つばさ/
   逢沢 凛 土井一海 前島謙一 平井浩基/
松崎 裕


先週見た後、チケットを追加してこの連休中に再び見て参りました。

先日UPした記事では、感想をあまり書いてませんでした。
ネタバレしたくなかったし。


いくつもよかったところ、印象に残ったところがあった中で、
特に印象的だった箇所をつらつら思いつくまま書き残していきたいです。



2回見ると、印象深いところはさらに際立つことが分かりました。


1つは、秀ちゃんの長い独白シーン。
もう、逢沢凛ちゃんの迫真の演技がすばらしすぎて、息が止まりそうでした。
でも、それは双生児の片割れ=吉ちゃんがいてこそ表現が強まるのです。
平井くんが演じたそれは、ものすごい崩れた表情で、何とも恐ろしくて見てて目をそむけたいような時が数多くありました。
秀ちゃんに比べてセリフは少ないのに、かえって凄みを感じました。


ちなみに、アフタートークでこのシーンの貴重な裏話を聞けました♪
ごく初めの頃、秀ちゃんのセリフはごく普通のしゃべり方だったそうです。
演出家さんからの指示で、あんな風に幼児が本を一字一字拾って読むような訥々とした感じに変わったそうなのです。
う~ん、すごい。あんなしゃべり方だから、秀ちゃんの純粋さが強調されてましたよね。(・・・って、誰に向かって言ってる?w)


もう1つ。
最後に諸戸さんが放つセリフ。
「親父は、本当に人外の鬼なのか??」
これを、心の奥底から絞り出すように言う様が、観ている私の心にグサリと刺さりました。

ちょうど、今回の公演期間中に、ある虐待親のことがニュースになっていましたが・・・。
ウサギ小屋に我が子を・・・というあれです。
これについての報道記事を私はいつも最後まで読めません。
それほどまでにむごたらしいことを、実の親がするなんて・・・。
だから、舞台で丈五郎が赤子を箱詰めにするシーンは、本当に辛くて苦しかった。
現代ではこの鬼のような悪業が、現実のものとなっている。
そのことを、乱歩が知ったら、どう思うんだろう・・・・・。
私には、報道の親の方がよほど人外の鬼に思われます。




思い出したら、気持ちが重くなりましたので、ちょっと違う点を!!




私がこの舞台で、何よりもいたく感激したのは、お芝居としての構成・演出手法です。
(そうやって書くと堅い言い方だけど(笑))


まず、長い原作を2時間ちょっとのお芝居にまとめられたことがすばらしい!
削ぎ落せる部分を極限まで削った結果、いくつかの悲しい愛の形が浮かび上がっていました。
推理小説で、宝探しの楽しさも詰まった上に、怪奇的な内容な欲張った原作が、こういう風になるのかあ、と。


あと、出演者も極限までに人数を最小に抑えてます。
メイン3人以外は、役を掛け持ちしてて、しかもそれが不自然じゃなくて。
よほど器用な役者さんじゃないと、なかなかできないと思います。


最小なのは、舞台セットも衣裳もそうです。
レッドシアターは、そもそも大がかりなセット替えができない構造。
そこに、実験室のような棚を複数並べているだけなのに、それが色々な場所として使われるのです。
それもまた自然に行われているのが、すごいなと思いました。
しかも、その棚のところに大小さまざま、形もいろいろなフラスコやビーカーが並び、一つ一つ中に黄色~琥珀色の液体が入っているのです。
そこに、パーっと照明が下方から当たった時のすばらしく綺麗な様子にうっとりしました。
舞台の最初の方で、そういう場面があるので、そこからはもうすっかり世界に入りこんでしまいました。


衣裳に至っては、衣裳替えがまずほぼないんです。
全員が生成り基調の衣裳で、伸縮性あるショールのようなかぶり物を肩からかけたり、時に頭から覆ってみたり(メイン3名はかぶりませんが)。
メイクも、ほぼ同じです。
刑事さんの顔になぜか赤や黒の筋が描かれていても、この舞台ではあまり違和感ありません(笑)


とにかく、すべてがミニマムな作りなんです。
これがないからできません、というのじゃなくて、作り手が逆の発想をしてるような・・・。
ともかく、これを作ったスタッフ・キャスト陣のような柔らかい発想が凡人にはぜんぜん思いつきません。
だからこそ、ワアーって驚いたし感心したんです!



だけど、ミニマリズムな割に、ぜいたくなところが1つ。
それは、箕浦くんを語り手である「私」と若き日の彼との2キャストで表現したこと。
でも、それがまた過去と現在というのを目に見えてわかって、すごくわかりやすかったです。
しかも、その過去と現在の箕浦が会話をしたり、手渡したり、相互にコミュニケーションを取るところは、不思議だけど楽しい感覚でした。

もちろん、ラストで二人は入れ替わりました。





ああ、長々と書いてしまった(笑)
前回見た昭和文学シリーズ(蝶々殺人事件)が、私には今一つだったのですが、
『孤島の鬼』は本当に面白かったです。
やっぱり、こういう作品では、原作を読んでるか読んでいないかも左右するのかもしれませんね。

あらためて、蝶々~を読んでみようかな。