冒頭、元音声担当の清水が暗がりで、熱心に落書きを消そうとしてたよね。
好きな子の名前(たえこ)で「○○○命」と書いた昔の落書き。
それを、ひとみがこっそり見に行くところ。
そこ、変じゃなかった?
あんなに清水がこすっていたのに、ひとみはほこりをどける仕草をしてるんだもん!!
そこで私なりの解釈。
この時、ひとみはすでに10年前の世界に入っているんだ、と思った。
その証拠に、映画の仲間がどんどん部屋に入ってきて撮影準備をしている。
つまり、もうそこは当時の光景でしょ。
ひとみが完全に10年前に戻ったのは、きっと、由良にスケジュール表を手渡された瞬間!!
不思議そうな顔をするひとみに対し、由良は笑みを浮かべてた。。。
誰もひとみに気付いていないのに、由良が接触した途端、楠人がいつものように声をかける。
この不思議な現象。
ひとみちゃんは、気付かないうちにもう完全に10年前に戻ってしまいました。
由良だけは、まるで10年後のひとみがそこに戻ってくるのを知ってるかのような。。。
こうやって書くと、ただのタイムスリップもののようなんだけど。。。
そうじゃなくて、ここって、映画の中なのかなと思えてもくる。
本を読むうちにその中に入ってしまったアリスのような。
同じく「たけくらべ」のような。
ま、でも、最初の方は過去に映画作りをしてた実際の現実なんだろうなあ。
昨日書いた由良くんの怒りと絶望のような気持ちが高まる場面。
めちゃめちゃにされて、ついに楠人の首を締めるところ。
(ここのシーン、好きです。思わず息をつめて客席から見守ってしまいました。)
実は、それが、由良の頭の中で起きてたことだと後から分かる。
それは、場面が暗転して、次にライトがつくと由良がハッとした顔して、楠人が変わらず床で寝てるんだもん。
見てるこっちもびっくりした。
けれど・・・・・。
この表し方だと、現実と虚構の区別がしやすい。
その後も、同様に判別できるシーンがありました。
たえこが出て行くところだっけ?
この頃には、由良くんが人指し指の先を伸ばし、不思議なポーズと共に場面が急に転換するようになってて。
フィルムを早送りするような音とライトで、明らかに現実ではない様子。
事実、たえこのフェイドアウトは、まるで人形のようでした。
でも、後半はもう虚実の区別がつきにくい。
というより、むしろ、由良の作っていった虚構によって、現実が浸食された感じさえしました。
怖い。。。
どこかの時点から(どこかはよく分からないけど)、由良の考えたシナリオに沿った展開が増えてきて。
そして、最終的に、すべてがシナリオ通りの世界。
もう、そこには現実はない。
やっぱり、怖い。。。
すなわち、虚実の入り混じった世界。
それが、さらに、映画の中の虚構世界と映画撮影の現実世界というものとも絡んでて。
ものすっごく複雑さを感じるのは、そうした入れ子構造のせいだろうと思いました。
ちなみに、私が発見した現実・虚構、その解釈。
◎最初に書いた落書きの件。
たえこを消した由良にとって、もうその名前すら存在しない。
だから、名前が替わった?
ではなぜ、みおなのか。
みおは、由良の才能を認めてたからでは?(企画に票を入れた一人なので)
◎楠人所在不明の件。
和樹が見に行ったら、もうどこにもいなかった。
自殺か、それとも由良が突き落としたかはさだかではないけど。でもいないのは現実。
だけど、後で和樹がひとみに告白する内容は。。。
楠人に暴力をふるい、そして窓から風船のようにぴゅっと飛んでいったと。
なんて非現実な話!!
それって、由良の作ったストーリーですよね。
だって、楠人がいなくなってから、台本に書きこみをたくさんしてた由良。
そして、和樹がかつて事件を起したことを聞きながら、手を止めて目を丸くしてた由良。
だけど、そこからまたペンをものすごく走らせてる。
ああ、きっとそこでビール瓶で殴るくだりを書いてたんじゃないかな、と思いました。
他にも、あれ?それってさっきと違うじゃん、って個所がいっぱい。
◎あれだけ空気だったのに、映研メンバーが「由良さま、さま」呼び。
◎映画の内容も、改作されたとこはカットされて、ちゃんと元の台本に戻ったらしい。
◎クランクアップのところ、和樹以外は、まるで別人のように素直に撮影するキャスト・スタッフ。
◎打ち上げで、誰も疑わずに由良を「監督」呼び。
◎てか、クランクアップの日付が、みんなが休んでた日と同じ。
◎ライターのお姉さん、撮影を見てぼろくそ批判してたのに、次に来た時には由良の台本を大ほめ。
◎そのライターさんと、ひとみちゃん、なぜか仲良し。
この仲良しぶりに、由良は驚いてた。
だから、てっきり、現実の仲良しぶりに由良が驚いたんだろうと思っていたけど。
もしかして、台本に書いた役が勝手に動いていったことに驚いたのかな、と思った。
◎ライターさんの妊娠は、楠人とは無関係の件。
それを聞いて由良は、こう言ってたよね「なんとなく分かってた・・・っていうか・・・」。
それって、そういうシナリオを描いたのは自分だからってことでは?
◎ひとみの妊娠も、実際には急性胃腸炎なのを、由良がねじ曲げて書いたのでは。
お酒をぜんぜん飲んでないことについて尋ね、なんか調子悪くてということから勝手にストーリーを考えた由良。
その方が、自分の書く台本にとって都合がいいから?!
最初のぐちゃぐちゃの撮影シーンで。
セリフを増やそうという提案を楠人や和樹がしてくるくだり。
「今夜お部屋へ行ってもいいですか?」という楠人に、由良は「出会ってすぐなのに?」と返す。
「だって、みんなそういうのを求めてるでしょ」という楠人に対し、由良は「みんな???」と。
ここに、二人の決定的な違いが表れてる。
チャラくて女好きな楠人。
真面目な由良。
そして、楠人は自分の撮りたいものはなくて、他の人が見たいと思えばなんでもいい。
反対に、由良は撮りたいものがはっきりあるが、他人が見たいかどうかは関係ない。
この対比がおもしろい。
こんなに長々分析してきたけれど、結局のところ、どこまでが由良の考えた虚構世界なのか、やはりはっきりしないまま。。。
ていうか・・・。
最後に言っていい?
3回も見て、いろいろ分かってきたのに、やはりつかみどころがない感じの残るこの作品。
私は、いくら難しい舞台でも、できれば1回目でだいたいつかめるのがいいです!!!!
いや、これ本音です(笑)
