こんにちは、
株式会社Lean Stack代表の吹上由樹です。

 

📝私の簡単なプロフィール

  • 2021年4月 経済産業省へ入省

  • 2023年7月 経済産業省を退職

  • 2023年9月 株式会社Lean Stack設立

  • 2025年2月 地上波テレビ番組出演

  • 弊社HP:https://www.leanstack-buzz.com/

 

このnoteは、AIの進化の先に待つ未来を見据えたい、すべての経営者、ビジネスパーソンに向けて書いております。


ぜひ最後までご覧ください。


AIがもたらす完璧に効率化された世界。それは本当に”理想郷”か?

これまで私は、このnoteを通じて「中小企業こそAI/DXを推進すべきだ」と、その重要性を繰り返し訴えてきました。

 

資料作成、議事録、メール返信、広告クリエイティブ… あらゆるタスクがAIによって自動化され、人間の生産性は飛躍的に向上する。

 

それは紛れもない事実であり、私たちが目指すべき喫緊の課題です。

 

しかし、今日はあえて、

あなたに一つの問いを投げかけたい。

 

「すべてが効率化され、無駄が削ぎ落とされた世界は、果たして本当に”理想郷”なのだろうか?」

 

AI推進の旗振り役である私が、なぜこんな哲学的な問いを立てるのか。

 

矛盾している、

と感じるでしょうか。

 

いいえ、違います。


これは、AIを否定する話では決してありません。

 

AIの進化の”その先”を見据え、この革命的なテクノロジーを真に使いこなし、AI時代における勝者の条件を考える上で、避けては通れない本質的なテーマなのです。

 

僕は断言できます。

 

AIが普及すればするほど、皮肉なことに、私たちが最終的に行き着く価値の源泉は、最も”アナログ”なものになる、と。

 

さあ、AIのその先へ、思考の旅に出ましょう。


価値の逆転劇。なぜAIは”アナログ”を輝かせるのか?

経済の最も基本的な原則。
 

それは「希少なものに価値が生まれる」ということです。

 

かつて、正確な「情報」や高度な「知識」は希少でした。

 

それを持っている専門家や企業が、大きな価値を持っていました。

 

しかし、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場で、何が起きたか。

 

 情報や知識は、もはやコモディティ(ありふれたもの)になりました。

 

「ググる」という行為すら古く感じられるほど、誰もが瞬時に、専門家レベルの知識にアクセスできるようになったのです。

では、これから何が「希少」になるのでしょうか?


答えは、AIには絶対に創り出せないものです。

  1. 非効率な”体験”と”身体性”
    AIは最短ルートを提示しますが、人間は時に、遠回りな旅のプロセスそのものを楽しみます。焚き火の火をただ眺める時間、目的もなく仲間と交わす雑談、手作りの料理の不格好だが温かい味。五感を通じて得られる、非効率で身体的な”体験”の価値は、デジタル化が進むほど相対的に高まります。

  2. 共感と”熱狂”
    AIは論理的で完璧な文章や音楽を作れますが、人の心を揺さぶる”熱狂”は生み出せません。アーティストのライブで生まれる一体感、スポーツで奇跡的な勝利がもたらす歓喜、経営者が語るビジョンへの共感。この不合理で感情的な”熱”こそが、人を動かす最大のエネルギーです。

  3. 偶然の出会いと”化学反応”
    AIは最適化されたマッチングはできますが、予期せぬ”偶然の出会い”はデザインできません。たまたま隣に座った人と意気投合して新しいビジネスが生まれるような、予測不能な化学反応。これこそが、アナログな場の持つ最大の価値です.

 

つまり、「検索すれば分かること」の価値はゼロに近づき、「その場でしか味わえない体験」や「その人からしか聞けない熱量のある話」の価値が天井知らずに高まっていく。

 

これが、AI時代に起きる”価値の逆転劇”の正体です。


AIは手段。目的は”人間性の解放”にある。

「じゃあ、AIなんて導入せずに、アナログなことをやっていればいいのか?」 

 

それは違います。

むしろ、逆です。

 

AIを徹底的に活用し、非人間的な作業から人間を解放する。

 

そして、AIによって生み出された時間とリソースを、人間にしかできないアナログな価値創造に再投資する。

 

これこそが、これからの経営者が持つべき視座です。

 

例えば、

  • 旅館業:予約管理、清掃、配膳の一部をAIやロボットに任せ、効率化を極める。その一方で、人間である仲居は、顧客一人ひとりとの対話に全ての時間を注ぎ、「最高のおもてなし」という究極のアナログ価値を提供する。
     

  • 製造業:生産ラインの管理や品質検査はAIに任せ、不良品率をゼロに近づける。人間である職人は、その技術と感性で、AIには作れない”一点モノ”の作品創りに没頭する。
     

AIはあくまで手段です。
目的ではありません。

その先が大事なのです。
 

AIを使いこなし、生産性を上げることで、じゃあ次に何ができるか、どんな新たな価値を創造できるか。
 

そこにこそ、私たちの未来がかかっています。

 

そして、AIがどれだけ進化しても決してなくならない、むしろその価値が飛躍的に高まる究極のアナログ資産。

 

それが、「人との繋がり」です。

 

特にこれからの時代は、一人で全ての情報をキャッチアップし、最適な意思決定を下すのは不可能に近いです。

 

だからこそ、同じ志を持つ仲間と繋がり、知見を共有し、共に未来を創造していく「繋がり」そして「コミュニティ」の力が不可欠になります 。


まとめ:AIの先へ。あなたは、何をしますか?

AI革命の波は、私たちの働き方、そして生き方そのものを変えようとしています。

 

この変化を、単なる「効率化」の文脈だけで捉えるのは、あまりにもったいない。

 

AIによって、私たちは、やりたくない退屈な作業から解放されます。


問題は、その先に何を求めるか、です。

 

空いた時間で、顧客と深く向き合うのか。


空いた時間で、従業員と未来を語り合うのか。


空いた時間で、新しい仲間と出会い、世界を変えるアイデアに熱狂するのか。

 

AIに踊らされるのではなく、AIを使いこなし、人間性の価値を最大化する側へ。

 

波に流されるのではなく、波を作る側へ。

 

ぜひこの記事を、あなたの会社の、そしてあなた自身の「AIのその先」を考えるきっかけにしていただけたらと思います。

 

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

また次の記事でお会いしましょう。

 

株式会社Lean Stack

代表 吹上由樹