すっかりイタリア旅行記が滞っている内に、気がつけば外の気温は朝夜は10℃を切るようになり、日中でも17,8℃とすっかり夏の記憶が遠ざかりありつつある最近のデュッセルドルフです。
さて、9月も中旬を過ぎると欧州のワイン処では収穫したばかりの葡萄を使って新酒の準備に入ります。
『フェーダー・ヴァイザー』
白ぶどうの品種を圧搾したぶどう果実のしぼり汁を発酵させている途中の状態のお酒です。
これはまだワインになる手前のもの。
完全に発酵が完了してワインになると、酵母は取り除かれるのですが、この段階では酵母が残っている為、色は白色に濁り、見た目は濁酒(ドブロク)のような感じです。
昨年は賞味する機会を逸しただけに、今年こそは!と土曜日にモーゼル地方まで行って来ました。
蛇行するモーゼル川。ゆったりとした景色です。
“緑の絨毯”のように見えるものは全て葡萄です。
いつも思うことですが、ヨーロッパは街と水の距離が非常に近いですよね。
堤防で川を囲わないので、水と街が一体になっているように見えます。
これが絵になる景色を産む要素の一つではないでしょうか。
山と平野の距離が近い為流れが早く、直ぐに氾濫してしまう日本では難しいのですが、
水辺と街の距離が近いだけで全く景色の印象が異なると思います。
モーゼル地方は、ライン川支流であるモーゼル川流域に広がる葡萄どころで、ドイツ国内ではライン川流域と並ぶ二大産地の一つです。
自宅からは車で2時間ちょっと。もちろん日帰りドライブです。
街の外側、丘(山側)に広がる緑は全て葡萄。
ドイツが世界に誇る白葡萄、リースリング種が主体です。
街はワイン祭り『フェーダー・ヴァイザーフェスト』真っ盛り。
観光客から地元近郊の家族連れに至るまで大賑わい。
早速ありつきました!!
最初の印象は「想像していた以上に甘口」でした。
まるでフレッシュな葡萄ジュースのような印象です。
ところが二口目以降は徐々に味わいに変化が見えてきました。
発酵途上というだけあって、ガスによる微妙な発砲酒の味わい。
微かな酸味も感じられるようになってきます。
完熟葡萄の甘さと、フレッシュな葡萄の酸味と発砲酒のハーモニーです。
ところで、今回の目的はフェーダー・ヴァイザーを味わうことだけにはとどまりません。
フェーダー・ヴァイザーに最適と言われるおつまみ『Zwiebelkuchen(ツヴィーベルクーヘン)』
を食べることがもう一つの目的なんです。
これです!!
“クーヘン”というからにはケーキなのですが、食べた印象はケーキというより玉ねぎのキッシュです。
でもさすがですね、この“ツヴィーベルクーヘンとフェーダー・ヴァイザー”の相性は確かに最高でした。
玉ねぎの微妙な甘み、ベーコンの甘みと微妙な塩味、そして胡椒のスパイスが最高に発酵途上のワインの酸味とマッチしていると思います。
8月にチンクェて食した“ファリナータと白ワイン”の名コンビ以来のベストマッチでした。
そうこうしている内にさすがフェスト!
フェーダー・ヴァイザー、そしてワインに至る“ブドウ絞り”が始まりました。
古式に則ったやり方です。
ヨーロッパに特有の“収穫祭”に近いイベントのような気がします。
(正面の撮影している人、一瞬“のっぺらぼう”かと思ってしまいました・・・)
この搾りたてのブドウジュースが皆さんに振る舞われます。
まるで“青汁”?と思わせられる色ですが、味はまさしくブドウジュース、そのものです。
完全に発酵し終わったワインと違って、ブドウの香りがぷーんと漂うのが印象的です。
村によっては、こんな出店も。
分厚い“ハンバーグ”です。
この手のソーセージ版はよく見かけるのですが、ハンバーグは初めて見ました。
玉ねぎの甘さと焼きたてジューシーなハンバーグ。
これはなかなかいけますよ。
こういうお祭りは楽しいですね。
日本でも焼酎か日本酒を使ってやれば大々的に企画すれば、“街おこし”の格好の道具に
ならないでしょうか。
“少しだけ”次に続きます。