生命活動の最も重要な要素は、
 「細胞内のミトコンドリアが、
  取り込んだ酸素を使って、エネルギー供給をする」

 という点です。
 これには酸素を摂取することが絶対条件ですね。

成長期を過ぎた植物は、主に生命維持のための酸素の消費を続けますが、
成長する時期の植物ほどには、光合成によって活発に糖を合成するための、
二酸化炭素の吸収をしなくなります。

 ですから、植林で「二酸化炭素を吸収固定」するという期待を持っても、
 活発な成長を終えた植物を、皆伐更新などしないかぎり、
 環境作用もとっくに停止したままなのです。

 では以上をふまえて、鉢植えの水やりに話題を戻しましょう。
 酸素は、新鮮な外気に多く含まれていますね。

  土の中には風が吹きません。

  空気の対流もちょっと考えられません。

 そこで根の生命維持に使われる酸素の供給は、水やりの際に起こる陰圧を使います。

 鉢に適正量の水をやると、水は鉢底へと抜けます。
 土壌にいったん飽和した水が抜けると、
 上から空気が吸い込まれることになりますね。

 これによって新鮮な空気に入れ替えるわけです。
 さもなければ、窒息して細胞を破壊する。
 あるいは、湿度の高い鉢中で、根が生きたまま腐敗するといったことになり、
 だいたいそれに気がつくのは、手遅れになってからです。


 「鉢植えでは、水やりの“最大の理由”は、“空気の入れ換え”である」

  そのように覚えておいてください。

 このことは、庭木でも同じことです。
 樹木の根回りが踏み固められたり、排水が悪いと、
 鉢の中で失敗するのと同様の現象が起こります。
 気づいたときには手遅れです。

さて、水やり呼吸を確かなものにするためには、もう一つの要素である、
「土壌」という要因を考えなくてはなりません。

  次回はそこを研究したいと思います。

******* 今回のお勧め書籍 ************************************
著者: 山本 光二
タイトル: 樹医をめざすあなたへ―樹木診断ハンドブック


山本先生は、最初の樹医である山野先生の後継者です。
  本書は読み物としても、樹木管理の手引きとしても、
  大変優れています。