西表島は島半分は道路が通ってない
海からしか行けない所をカヤックで
旅しようと思う
勿論ジャングルをかき分けて行けば
内陸からでも行けるのだが…
島の南部、南風見田にあるパピヨンさんに
お世話になる
カヤックのツアーやレンタルをしている
ショップで、元々オーナーは北海道出身
蝶々の採取の趣味が嵩じて、台湾から
飛んで来る蝶を目当てに西表に移住した
そうだ
南風見田の浜まで車で移動中、ちょっと
待ってと車を停めてタモを持って出動
お客を置いて、草むらの中に消える
珍しい蝶が今横切ったからと…
僕に劣らず全く自由な人だ
カヌーショップの他にビニールハウスで
野菜や果物を育てているのだが毎年
台風でハウスがやられてしまう
あとハブを捕まえてお金に変えている
細かな地図を広げてルートを確認する
1週間を目処にしているが、連絡をくれれば
ピックアップに来てくれると言う
一応何かあっても責任は負えないのでと
念書を頼まれて書く
他に危険生物やジャングルは今イノシシの
狩猟時期なので深入りはしないとか
飲水はこの滝の所の水がいいとか
現地でしか知り得ない情報を得る
キャンプ道具一式と1週間分の食料と
飲料水をカヤックに詰め込む
カヤックには前後に荷室があって
以外に沢山の荷物が詰められる
さぁいよいよ出発だ!
自由が待っている
綺麗な海の上を漕ぐのは気持ちがいい
この自然いっぱいの開放感が溜まらなく
好きだ
のんびり旅するのが好き
カヤックは正しくピッタリの乗り物
何泊目か天候が悪くなって足止めを
喰らう
天然のシャワーで身体が洗えるのは
いいのだが、さすがに同じ所で2泊も
すると退屈になってくる
持って来た本も読み終えてしまった
少し漕ぎ出してみようか
しかし天候は悪くなるばかり…
これ以上は岸から離れるど命の危険に
晒されるな
自分の技量を過信してはいけない
自然の凄さには歯も立たないのだから
岸に戻る事にした
凄い暴風雨で、一気に岸が霞んで
見えなくなった
信じられないくらいの話しだけど
普通に漕いでは風でパドルが
持っていかれる
身体を思いっきり後ろに寝かせて
海面ギリギリを漕ぐ
岸から確か100mほどだったはず
1時間かけてやっと岸に辿り着く
ひとりで良かったとつくづく思った
仲間がいても助けようにも助ける事が
できないな
自分の身を守るのに精一杯
嵐も過ぎ去り、今日は快晴
NZでの自信と体験、絶対死なないと
言う執念が生き延びた気がする
のんびりとゴリラ岩の周りを周る
一番危険な荒波と聞いていた場所、
今日は大した波でもなく良かった
人が誰も来ないとわかっているから
入り江では、素っ裸になって砂浜に
転がる…開放感
日常では便利な物を色々買ってしまう
のだが、本当に必要なのは何だろう?
物の豊かさではなくて心の豊かさが
幸せに結びつくと思うけれど
わかっていても煩悩に振り回される
こうして何もない環境に身を置いて
自然と一体になった様な歓び
母なる大地に抱かれている感覚が好き
外離・内離島の辺りは更に水の透明度が
増す…まるで宙に浮いている様な感覚
パドルの音で驚いたのか?
群れになった細長い魚が海面から
飛び出して尾びれだけで走っている
見た事のない光景にびっくり
そうかと思うと無数のイワシの様な魚が
岩に隠れるので、カヌーに乗ったまま
鷲掴み出来たりと信じられない事の連発
ルアーを投げれば入れ食いだし…
あんまりのんびり漕いでいるので
漁船が近づいて来て、漁師さんに
声をかけられる
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
1週間振りに人と話して嬉しかった
道路が通っている所まで来て岸にあがる
何時間もカヤッキングしていると
地上が揺れていない事に非常に
有り難みを感じる
地面が揺れないってこんなに安心感が
湧くものなのか
自販機があったのでコーラを買う
うまい!
今迄ぬるくなった水しか飲んでいないので
冷たさが染みわたる
売店にある鏡を覗き込んだら
顔が塩でえらい事になっている
店の人にことわって水道を借りて
顔を洗う
西表島は手付かずの自然が多い
干満の差も激しい
台風もやってくる
食料品の品数も圧倒的に少ない
魚屋さんがない、皆自分で取って
食べれるから
都会暮らしと比べたら、不便だらけの
この島なんだけど
のんびりとした時間の流れ
またいつか来ようと思う