ウチで働いてもらっているメイドちゃんは、心から信頼できる本当にいい人。


彼女はとても貧しい家で育ったために、学校に行かずに13歳から現在まで働き続けているんだそう。
(今現在、スラムに住む貧しい人びとの子供も教育が受けられるよう政府が援助しているので、おそらく昔もそれに近いシステムがあったのだろうが、彼女の場合生活費を稼がなくてはならなかったと想像する)


だから、彼女は字を読めない。自分の名前以外は書くこともできない。けれど、英語は私たちがお互いに言いたい事の80%くらいは伝えられ会話が成立するレベルに話せるのだ。
これは、15年以上前に彼女を住込みのメイドとして雇っていた心優しいフランス人夫婦が、毎晩彼女に英語のレッスンをしてくれたからなのだ。このフランス人家族はいまでも毎年彼女の誕生日にフランスから電話をくれるのだそう。
そんな愛情深い人に出会えた事がとてもラッキーだったということもあるが、何より彼女自身が周りから愛を与えられるキャラクターなのだと私は思うのだ。



そんな彼女は、近所の人たちからいつもいろんな事を頼まれる。例えば、彼女はとても器用なのでヘナ(植物由来の成分の染料)で白髪を染めてくれとか、料理上手な彼女の特製カレーを食べさせてくれとか、彼女はとても子供好きなので子供の面倒を見てくれ、などなど日常的に様々なことを頼まれているようなのだ。



聞けば聞くほどご近所さんからいろんな事を頼まれたり、お金を貸してあげたり(実質上あげたようなものと思っているとのこと)しているから、思わず私は彼女に、髪を染めた時は一回100ルピー貰えば? と言ったところ、彼女はこう言った。


昔々自分が生活に困っていた時に、近所の人たちが手を差し伸べてくれたから、彼らからはお金を取ることはしないのだと。


前々から、考え方は芯の通った人だとは思っていたけれど、改めて感心したのだ。




そんな彼女の旦那はかれこれ一年近く働かず一日中家にいて、一人娘は出稼ぎ先のバーレーンで恋に落ちたイスラム教徒の恋人と結婚したがっていて、色気だけが先行。出稼ぎ先から仕事がハード過ぎたという理由で今はすでにムンバイに戻っているが仕事もせず毎日家にいる。他人の家庭のことながら、ため息が出てしまうほど残念な家族なのだ。
そんな旦那に対して彼女が働いてくれと言おうものなら、うるさい黙れと怒鳴られてしまうため、いまはもう何も言わなくなってしまったらしい。
貯金もそんなにたくさんあるとは思えないし、いまのうちに稼いでおかないと老後が心配だと思うのだけど…。



私に出来ることはほとんどないけれど、この先彼女には幸せな人生を送ってもらいたいと心底思う。





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彼女が住んでいる場所。
親戚やご近所さん。