最初に症状が現れたのは、幼稚園の年長の頃でした。

元々幼稚園が好きではなかったS君、コロナの影響で春休み明けから2ヶ月ほど休園になり、久しぶりに登園した頃から、咳払いが始まりました。


「喉が痛いの?」

と聞いても、首を振ります。

何度か耳鼻科に連れて行っても、問題なし、と言われるだけで首を捻っていました。

色々調べてチック症状かもしれない、と気づいた時、ドキッとしました。


チックは子供の510人に1人は経験すると言われており、様々な症状があります。

周囲は無理にやめさせず「善意の無視」が良い、と知り、それ以来咳払いをしても何もないフリをしていました。

フリはしていても、私の心の中は、S君の咳払いを耳にするたびドキドキしていました。


2ヶ月ほど症状が続き、その後、ヒステリー球に移行しました。

夜寝る時に突然、

「息ができない、苦しい!」

と訴え始めたのです。

「喉の奥に丸いボールみたいな塊がある」

S君は泣いて訴えました。


私はオロオロとS君は抱きしめて「大丈夫だよ、大丈夫だよ」と繰り返しました。

横になると苦しむので、一晩中S君を毛布で包んで抱きしめて、ソファに座って夜を明かしました。


朝になるとS君はケロリとして幼稚園に行きました。

でも夜になると同じ症状が出るのです。


私は毎晩S君を抱えてソファで眠りました。

授乳期の頃に戻ったような気がしました。

S君はとにかく寝ない子で、生後半年ぐらいまで、私はほとんどまとっまって寝た記憶がありません。

その頃を思い出しながら、何を間違えたんだろうと悩みました。


その頃のS君は、沢山の習い事に追われ、習い事がないのは土日だけ、という状況でした。

何も言わずに素直に通っていましたが、思えば私に怒られないようにと、必死に取り組んでいたのだと思います。


「嫌じゃないよ」

習い事の感想を聞くたび、S君はそう答えました。でも、

「楽しい、行きたい!」

と聞いた事は、一度もありませんでした。


私はS君が「人並み」になる事にばかり注力し、S君自身やその心の中ををきちんと見ようとしていませんでした。

S君のため、S君のため」と唱えながら、言動で、キャパオーバーのハードスケジュールで、じわじわ彼とを追い詰めていたのです。


その結果が目の前に現れたのでした。