5度目の入塾テストを受けにいく前に、S君と神社にお参りに行きました。

入塾テストでこれでは、中学受験なんて相当厳しそうです。


「僕今日はいける気がする」

S君は気合いが入っています。

テストもですが、合格したらご褒美が貰える約束もしていたのです。


先生に誘われてテスト教室に入るS君の背中を、私は祈るような気持ちで見送りました。


S君がテストを受けている間、私はコーヒーショップでコーヒーを飲んでいました。

文庫本の文書も頭に入って来ず、とても時間が長く感じました。

胃が痛かったです。


テスト終了時間少し前から職員室前の待合室で待機していると、S君が戻ってきました。

「今すぐ採点するのでお待ちください」

いつもの光景で、目の前でS君の採点が行われるようです。

私の隣に腰掛けたS君が開口一番に言いました

「お母さん、「ちず」の「ず」は図工の図?」

「そうだよ」

「よし!」

S君は小さくガッツポーズをしました。

手応えがあったんだ、とすぐにわかりました。

「できたの?」

小さなヒソヒソ声で聞くと

「けっこうできたかも。半分はできた」

S君もヒソヒソ答えました。

私の中に期待とそれを抑える気持ちが入り混じりました。

半分取れれば受かるのです。

頼むから受かっててくれと汗ばむ手を握りしめました。


採点を終えた女性の職員の方が、書類を持ってS君と私に声をかけました。

その手には青い入塾特典のタブレットケースがありました。


面談室に通され、机の上に書類とタブレットケースを置いたまま、女性職員の方が退室しました。

私とS君は無言で待ちました。

2人の目線はタブレットケースに釘付けでした。


数分後、校舎長の先生がテストの答案を持っていらっしゃいました。


校舎長の先生はにこりと笑ってちょっと気取って言いました。


「ようこそ、Wアカデミーへ」