入塾テストが終わって出てきたS君は、チャレンジテストの時と同じ強張った顔をしていました。
ああ、ダメだったんだ。
すぐに分かりました。
「どうだった?」
と聞くと
「あまりできなかった…」
小さい声でうつむきました。
テストの結果はすぐに出るとの事で、職員室の待合スペースで10分ほど待っていました。
目の前でS君の答案が採点されているのが見えます。ダブルチェックもしているようです。
胃が痛かったです。
帰りたいな、と正直思いました。
こんな息苦しいところは早く離れて、どこかS君が喜ぶ場所に連れて行ってあげたいと思いました。
面談室に通されてわざわざ校舎長の先生が対応してくれました。
入塾テストは3ヶ月間同じものを使うので、内容は見せられないとのことで、S君の解答用紙だけチラッと見せて貰えました。
真っ白な算数の回答用紙に胸が痛みました。
試験時間中、S君もどんなに胃が痛かった事か。
それでもなんとか解ける計算問題を一生懸命やった形跡がありました。
国語の解答用紙は意外な事に語彙力の問題がとても出来ていました。
「語彙力は知っているか知らないかなので、普段から日本語にたくさん触れてるんですね」
先生はそう褒めてくれたあと、後半の文章題の解答欄を指さしました。
全て間違えていましたが、記述問題を途中まで書いた形跡がありました。
「難しかったよね」
先生は優しくS君に言いました。そして私に
「普通は難しすぎるテストだと途中嫌になってしまう子が多いんです。でも彼は最後まで解こうと努力しています。なかなか出来ることではありません。頑張りましたね」
リップサービスだったのかもしれません。
でもその言葉で、とても救われた気持ちになりました。
さすがプロだな、と感心しました。