最後は「安楽死」を

考えながらエルと過ごしました。


17日に病院へ行って先生に症状を言って

1週間分の「痛み止め薬」をもらって来て

エルに飲ませました。

その翌日は久しぶりに1日 エルは痛みが無く

穏やかに過ごせました。

このまま痛み止めが効いてくれたらと

家族で期待しました。


でも翌日から痛み止めが効かなくなり

それ以降、又 夜中から明け方にかけて

ひどく苦しむようになったので

先生にお電話したら

痛み止めは止めることになり

往診をお願いしました。

手術が入っていて22日の往診になったので

その日に先生に安楽死をお願いするつもりでした。

‥‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥


その夜 エルはいつにもまして

私に寄って来ました。

いつも腕枕でエルと寝てるんだけど

あの日はいつものように

頭を撫で体をいつものように触っているうちに

腕の中のエルが一瞬起きて

体を私に預けて来ました。




ソファで抱っこしてる時はいつも私の顔を

ペロペロして甘えてくるのに、添い寝の時に

こんなことをして来たのは、初めてだったので

いよいよその時が来たのだと覚悟しました。


私は思い切って、思い切って
イボだらけのエルの顔を何度もペロペロしました。
エルの思いに応えたかったのです。
夢中でした。

ずっと険しい顔が多かった最近のエルでしたが
この時は、見えていなかった目を開けて
子犬の時のようなつぶらな瞳をして
私の言葉が聞こえていたかのようでした。

ほとんど耳が聞こえなくなっていたエルに
私は最後の言葉を大声でかけ続けました。
‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥
エルと私の
永遠のお別れでした。

エルは私の腕の中で静かに息を
引き取りました。

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エルのエンゼルケアをしているうちに
前の、入院中に亡くなったゴールデンのモモと
エルが重なって来て
「モモ」と呼んだり「エル」と呼んだり
あの日にフラッシュバックした私がいました。
モモに出来なかったことを
15年経って
エルにしてあげることができたのです。

身を挺して苦しみながらも、
私にモモの分までさせてくれたエルでした。

エルが初めて我が家に来た日に夫が
「モモの代わりにしっかり務めを果たすんやで」と
言って頭を撫でていましたが
エルはそれを見事に果たしてくれました。

最後の二日間苦しんだので
安楽死させてあげたらよかったと後悔しましたが
安楽死させることなく、
エルは、私に
モモには出来なかった看病を、見取りを、
エンゼルケアを
私にさせてくれたのです。

何度も何度もエルにありがとうと言いました。

亡くなると、
首の腫瘍が時間が経つにつれ小さくなり
それにつれてエルは優しい顔に戻っていきました。
体中のイボを綺麗にして毛並みを整えると
エルは本当に、モモそっくりの顔になりました。

具合が悪くなってからは
何回も来てくれてた娘一家でしたが
亡くなって静かに横たわるエルを見て、
家族同様、
「本来のエルの優しい顔に戻ってる」と
言ってくれました。

体中のイボに苦しめられた晩年でしたが
やっと苦しみから解放されて楽になったエル

それは同時に、私達とのお別れでした。
永遠の別れでした。

今までありがとう
今まで‥‥‥‥でありがとう
今まで‥‥‥‥‥

たくさんの思い出を残してエルは
旅立ちました。

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