最近の朝の日課は

エルの体を撫でること


毎朝

エルはソファの前に行って

「上げて」と言うかのように私を目で追う

そんなエルを「よっこらしょ」と

抱っこして乗せる


長い間エルは

自分からソファに乗っていた

もっと昔は

ソファからボールを投げてあげると

喜んで飛び降りてボールを取りに行った

そのスピードの速いこと速いこと

何回もボール投げをさせられるものだから

しまいには人間の方が疲れたものだ


いつしかボール投げの回数が減り

そのうちにボール投げは全くしなくなったし

その他のオモチャにもだいぶ前から

興味を示さなくなったエル


そんなエルは

毎朝、夫と私が起きて朝の用事をして

夫が全身体操をし始めるのを見てから

おもむろにソファの前に行って

私に「撫でて」を要求してくる



イボだらけの体を優しく撫でてあげる私

エルも大人しくしている



私にはエルの顔は見えないけど


和室で体操をしている夫がエルを見て

「幸せそうな顔をしているなあ

幸せそのものの顔をしているよ」

「母親に撫でてもらっている感覚なんやなあ」

「エルは幸せな犬や

犬の幸せな顔を見るために

どの人間も犬を飼っているんやなあ」と言う


エルの嬉しそうな顔を見るのが

夫も嬉しいらしい


朝、少しずつ

エルを撫でる時間が増えて来ている


夫が外に出て自転車の用意をしていると

ソファーに乗るのは出来ないけど

降りるのはできるエルなのに

今朝は自分から降りなかった


それどころか

お散歩の時に被せるスヌードを

頭に被せても

自分から降りようとはしない

だるそうな顔をしている


仕方ないから

ソファーでリードをつけて

「どっこらしょ」と降ろした


朝の好きなお散歩にも

もうそんなに興味が無くなったのか?

それとも

散歩には行きたいけれど体を動かすのが

億劫になっているのか


こんなエルを見るのは寂しい


先日 娘から送られてきた孫の写真

夕日を浴びて

力強く滑り台を登っている孫



親が手を添え

少しずつ登らせていた滑り台も

いつのまにか

自分で登って自分で滑れるようになった孫


親の手を借りず

未来に向かって

自分の力で一歩進み出した孫


今までの娘夫婦の子育ての苦労が

思い出され

この写真を見た時は思わず涙が出てきた


未来を生きる孫と

少しずつ終わりに近づいて行くエル


私に出来ることは

朝、エルが私に寄ってきた時

母親の気持ちになって

優しく体を撫でてあげることだけ


前のゴールデンのモモと似た毛色のエルを

撫でていると

モモを撫でているような錯覚に陥る


モモであり、ぷぅであり

現実のエルであり

そんなエルの体を撫でるのが

最近の私の朝の日課


私の癒しの時間である


*・゜゚・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゚・*