夫は退職してのちに
小説を書き始めた

何か急に体の中から湧き上がる思いに
つき動かされて書く気になったらしい

何かをしていても
パッとひらめく時があり
寝ている時にも
散歩している時にも
要するにシーンを問わずひらめくので
忘れないように
しばらくはメモ帳を持って歩いてた時もある

でだいぶ経って完成したので
自分史とも言えるその小説を本にしようと
娘と私が提案した

したけれども「本はたいそうやから」と
夫が言うので
心優しい娘が夫の言うままに
コピーしてあげることにした
挿絵は絵の上手い?私が描いてあげた

かくして
コピー紙小説が出来上がった


右がその小説である
で、夫は親しい人達にその小説を
郵送しはったのである

すぐに感想を言ってくる人
読んだかどうかもわからない人
そのうちに読むと言いながら
一向に読んだ風のない人と
反応は実にさまざまで
面白かった

で夫は私に一番読んで欲しかったと
言ってたけど私は読んでいない
夫が亡き後、
思い出の品の中に見つけたら
その時は夫を思い出して読もうと
思っているから

夫の小説の左側は
私のブログである
タイトルは「桃日和」


その頃飼っていたゴールデンのモモの日常を
書いたブログ

携帯で
写真を撮り
同じく携帯で
モモのありのままの日常を書いた
私のブログ

モモを通じて世の中を見て
モモを通じて自分の思いを吐露した
私のブログである

このブログは何年続いたんだろう
娘の手助けが無くば誕生も継続も
なかった私のブログ

もう少し手を加えて
絵も添えて
拙い本にすることもできたけど
夫同様、私も本にしなかった
その後娘が全てコピーしてくれました

その後
いろいろあって
引越して1年後にモモが亡くなり
すぐに
アメリカンコッカーのエルを
モモの代わりに迎え入れ

でもペットロスに陥ってた私は
すぐにはエルのブログを
書く気にはなれず

だいぶ経ってエルの日常のブログではなく
私のマイブログを書くことにしたのである

60代になっていた私はタイトルを
「還暦女子の毎日」とした

で細々と自分の毎日を呟いていて
65歳を過ぎたあたりかな?
流石に還暦女子はないだろうと思い
タイトルを
「シニア女子の毎日」に変えました

ずっとそのまま行くはずだったんだけど
もうタイトルは変わらないだろうと
思っていたんだけど
そのうちに孫が生まれたので
「メルヘンばあばの毎日」に変えました

どんなに名称が変わっても
「…………の毎日」は変わりません

そう
私のブログは私の毎日をつぶやく
ささいな毎日をつぶやくブログです

たまに、たまーに
1ヶ月に一回くらいかなあ
夫にその日のブログを見せることがあります

そんな夫が
今日 私に言いました

「今日、朝日新聞に載ってたエッセーを
読んだけど、あんたのブログを読んだ後に
受ける感じがよく似てんねん」

この方は私と同年で最近ご主人を亡くされた
作家さんとか

ついでに言えば
朝日新聞に交互にエッセーを寄せている
作家さんがいではるんだけど


この方達に対しても夫は以前から
「読んだ後の感じが
あんたのブログとよく似てる」と
言います

たまに私も読みますが
確かに少し似ているかもしれません

毎回夫にブログを見せるわけでもなく
たまーに見せるだけなのに
私のブログを読むたびに夫もそう言います

思うに
私は口にするより文にする方が落ち着くし
文にした方が自分の思いを残せるし
好きなので

で、
毎日はどんな毎日でも
一日として同じ毎日はないし
同じ気持ちではないから
その時、その時の自分の思いを
呟けるのだと思います

 さもない私のブログで
ささいな毎日をつぶやくのは
気が変わらない限り
これからも続くんだろうなあ


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