一人暮らしをしていた夫の伯母、戸籍上は祖母になるおばあちゃんが、体はどこも悪くないのに気力がなくなり何もしなくなった。
冬、こたつに入ってウンチを漏らしだしたのをキッカケに同居を決意した私達夫婦。

決意して家を建てて同居するまでに本当にいろんな事があった。
結果、当初の私達家族とおばあちゃんと叔母夫婦の7人の予定が10人になり予定より大きな家になった。
一階に二組の老夫婦、1人の叔父、二階に私達家族とおばあちゃんの計10人。

家の完成を喜んでいたおばあちゃんも、私達だけの同居生活と思ってたのに大所帯とわかり、だんんだん変わって行った。
いつの間にか、家を出て外に出るようになった。
決まって駅に行ったおばあちゃん。
連れ戻しに行くと
「〇〇に行きたい。」と言う。
〇〇はおばあちゃんの生まれた地。
「今度、帰りましょう。」となだめて連れて帰る。
一日に二度も三度も行くおばあちゃん。
その度に迎えに行った私。
そのうちに駅以外のところへ徘徊し始めた。
目を離したすきに出るので仕方なく白い布で名前と住所と電話番号をマジックで大きく書き、服の前と後ろに縫い付けた。
後ろの布には「痴呆老人、連絡お願いします。」と書き加えた。
近所の人にも見かけたら連絡お願いしますと言って回った。

そのうちに諦めたのか徘徊しなくなったおばあちゃん。
今度は二階の自分の部屋の窓から外を見るようになり、椅子を持って行くと一日そこへ座った。
退屈な時、外を見れるようにとこの部屋をおばあちゃんの部屋にしたのが幸いした。おトイレもすぐそばに設置した。