英語教育「過去形」小6で 小3~4は読み聞かせ
文科省が指導計画素案
特に高学年では日本文化やオリンピック、地域の将来などを題材に英語で話したり、やりとりしたりする。児童が興味を持ちやすいテーマを扱うことで英語の特徴を知ってもらい、自然な形で中学校の英語学習につなげることを目指す。
11年度に小学校で全面実施された現行学習指導要領のもと、現在は小5、小6で週1コマの「外国語活動」が必修となっている。文科省は教材を全校に配り、各校では遊びながら英語に親しむ活動などが定着しているが、日本語と英語の音声の違いへの理解や、文字学習などの面で課題があると指摘されてきた。
今回の指導計画素案などは学年別。小3では教材の空白に虹の色を塗る活動をしながら「I like blue」などと自分の好きな色を伝えたり、相手の好みを聞いたりする単元を設けた。
小5では英文を書き写す中で、アルファベットの発音は1文字と単語とで変わることに気付くことを狙いにした単元も。小学生は並行してローマ字も習っており、英語の発音を十分理解しないまま中学校に進むケースが少なくないという。
「he」「she」といった三人称には小5で触れる。小6では夏休みの思い出を話し合う中で過去形を使ったり、20年の東京五輪・パラリンピックで観戦したい競技を尋ね合ったりすることで、英語特有の語順を意識して表現するとした。
専門家会議は素案などを大筋で了承した。文科省は小5、小6用の教材を年内、小3、小4用を17年度内に配布する。次期指導要領の小学校への全面導入は20年度だが、18年度から希望する学校での先行実施が認められており、こうした学校での活用を見込んでいる。
(日本経済新聞より)
英語を実施 首都圏、選択科目で95校に
2020年度の大学入試改革や、同年度から順次実施される次期学習指導要領に基づき、小学校5、6年で英語が教科化されることを見据え、これまで帰国生を対象にしていた英語入試を一般枠でも実施する動きが急速に進んでいる。学校側は入試を多様化させて選択肢を増やすことで受験者の取り込みを図る考えだ。
中学入試の模試を実施している首都圏模試センター(東京都千代田区)によると、東京▽神奈川▽埼玉▽千葉▽茨城--の1都4県で昨年、私立・国立中学校を受験したのは推計4万3700人。ピークの07年には5万500人に上ったが、08年のリーマン・ショック以降は私立の高額な学費を敬遠する傾向が強まり、14年には4万2800人に減った。ここ2年は持ち直している。
受験者の確保に力を入れる私立中は、大学入試改革の動向に対応した入試を実施している。大学入試は20年度に現行の大学入試センター試験から新共通テストに代わり、英語は従来の「読む・聞く」の2技能に加え「話す・書く」の4技能で学力を測る方向だ。
また、小学校の英語は20年度に3、4年で楽しみながら学ぶ「外国語活動」になり、5、6年は正式教科になる。このため私立中学でも入試に取り入れる学校が急増している。
1都4県では、10年ほど前は帰国生を対象に数校が実施する程度だったが、15年には14年の15校から倍増の33校に。16年には更に倍近い64校になり、今年も増えて95校に上る。
難関の市川中(千葉県市川市)では今年、選択科目に初めて英語を設けた。同校の試験科目は国語▽算数▽社会▽理科--の4教科だが、英語を選択すれば社会と理科は免除される。問題は英検2級レベルと高難度だが、宮崎章校長は「最近の英語教育の低年齢化で、帰国生と変わらない英語力を持つ子は相当数いる。そうした子は入学後に帰国生と同じ授業を受けてもらい、能力を伸ばしてほしい」と狙いを明かす。
英語教育を重視する東京女子学園中(東京都港区)は昨年、従来実施していた国語▽算数▽社会▽理科--の4教科の入試などに加え、国語▽算数▽英語--の3教科の入試も始めた。今年は3教科入試をやめ、英語の「話す・聞く」の2技能だけの入試にする。辰巳順子・校長補佐は「大学入試改革を見据えて取り入れた。英語が好きで、世界各国の人と交流したい子に受験してもらいたい」と呼びかける。
首都圏模試センターの北一成・教務情報部長は「英語教育の低年齢化が進み、英語入試は間違いなく今後も増える」と分析している。
ただ、こうした流れを危険視する声もある。英語教育に詳しい大津由紀雄・明海大教授(認知科学)は「英語入試が増えると、中学受験を目指す児童には小学校の英語が物足りなくなり、英会話教室などで学ぶケースが増える。学外での学びは経済的な余裕のない世帯には負担となり、教育格差が広がる恐れがある」と指摘する。
【伊澤拓也】
(毎日新聞より)
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