SPC事務局長Oさんに自伝を読んだ感想をいただきましたので掲載します。

「隠さない」ということの強さ    ─横山義幸自伝を読んで─
                        SPC JAPAN総本部事務局長 O 


横山室長の自伝を拝読させていただき、波瀾万丈なSPCの歴史=室長の生き様なのだということを感じました。50年になる組織の歴史の半分も働いていない、若輩者の目から見ても、この一冊を読めば、組織のこと、室長のことのほとんどの部分を知ることが可能であると思いました。シンプルであるがゆえに、どのようにも解釈ができ、そういう意味では難解な室長の哲学を、大変わかりやすくまとめられ、編集に携わられた髪書房の丸井さんのご苦労を思いますと、当事者でないのにもかかわらず、不思議な感謝の気持ちが湧いてきます。
 今まで伺うことがほとんどなかったこれまでの室長の歴史、SPCの歴史、周囲の皆さんの証言を、大変興味深く読ませていただきましたが、中でも第悟さん、かやきさん、健治さん、三人の息子さんたちの室長に対するありのままの証言には、素晴らしいものがありました。長いこと声を出して笑いました。
 そして、その証言をありのまま隠さず、曲げることもなく、自伝に掲載しているところに、室長の在り方の根源があるのではないかと感じました。それは、全くそのまま、所謂、世間の常識というものからはみ出したところさえ一切隠そうとしない、SPCの組織の姿だと思います。
 室長は私のような若輩者の一事務員の暴言さえ、抑えこまずに吐かせてしまいます。しかも、突っぱねることもしません。これは、驚きと共に、非常に有り難いことだと感じています。頭にくるほど、自分自身が大好きで、それを臆面もなく出しまくり、こちらの都合も考えずにやりたいことをやりたいときにやる、自由すぎる組織のトップの姿をこれほど身近に感じながら働く経験は、他ではまずできないだろうと思います。サラリーマンとして、これが幸せなのか、そうでないのかと考えれば、好奇心の強い自分としては幸せ、しかし、平穏に生きたい自分としてはそうでもない、という感じです。
 それでも、この組織で働くようになってから16年、もう昔の引っ込み思案の自分には戻れなくなっています。年齢を重ねて、単に図々しくなっただけかもしれませんが、人にバレないように隠してきた、自分の奥底にあるものを、まんまと引き出されている気配があるのが、なんだか悔しいような、嬉しいような、仕方ないような、そんな毎日です。
 内面をさらけ出すには覚悟が必要です。そこを、SPCの組織は軽々と超えているようにしか見えないのですが、それは、組織の渦の中心にいる室長が、そういう人生を生き、かたちを変えながらも、息子さんたちにも受け継がれているように、組織の会員さんたちにも伝わっているからだと感じています。室長にまんまと押しつけられている人も、そうでない人も、「なぜか巻き込まれている」という現実に、あまり変わりはないのでは、と思います。
 横山室長が中心となって創り、守り、発展してきたSPCの組織には、他ではなかなか経験できない、そのような力があることを実感しています。  
                                     2014年5月6日