2013年5月23日、世界最高峰エベレストの頂上に「平和の象徴旗」が翻りました。思い起こせば、3年前、北海道で行った春季全国大会がその最初のきっかけでした。北海道統括本部の当時会長であった中山健一氏、大会実行委員長であった鈴木智之氏、初代会長である附田安範氏、現会長の齋藤茂樹氏、そして北海道の執行部の皆さんが中心となり、「SPCの太陽は北から昇る」と吠えて、誘致した大会です。
その特別講演に三浦雄一郎氏をお招きし、映像で、敢えて困難へと挑戦する姿を見せていただきながら、苦難の中で構築する人間形成の実践について語っていただきました。私は、三浦氏が80歳で挑戦するという3度目のエベレスト登頂時、「平和の象徴旗」を山頂に掲げて欲しいとお願いをしました。「多くの危険の中で達成できない場合もあることなので、遺書を書いておいてほしい」という通常では言いにくいことまで言いました。そのような言葉にも、三浦氏は動ずることなく「大丈夫。そのときは私の息子が持って登頂します」と言ってくれました。
三浦氏の周囲からは難色を示された「平和の象徴旗」の掲揚でしたが、大小2枚お預けした旗のうち、大きい方はベースキャンプに掲げていただき、小さい方は頂上で、父である雄一郎氏、息子である豪太氏が、大事に懐に抱いて登頂したものを風に飛ばされないよう二人で広げて、写真に収めてくださいました。ベースキャンプに掲げられていた大きな「平和の象徴旗」は、連日、エベレストの過酷な大自然の中で勇躍したため、布に傷みが出ていましたが、それも栄誉の傷と言えるでしょう。
この偉大なる行動の意義をしっかりとした形で社会に示したいと考え、私は下村博文文部科学大臣にしかるべき判断をお願いしました。後日、安倍晋三内閣総理大臣より、大自然の中で人間の可能性にチャレンジした冒険家を表彰する「三浦雄一郎記念日本冒険家大賞」の創設が発表されました。これは、アフリカの保健、福祉に貢献した医学・医療関係者を顕彰する「野口英世アフリカ賞」以来、政府が個人の名を冠にした賞を創設するのは三浦氏で二人目となるものです。縁を結ぶことのできた我々SPC組織の天命・使命・役割の在り方に改めて驚嘆しました。
私は、この天命をいだいた「平和の象徴旗」に、三浦氏より、この旗がエベレスト山頂に翻ったことをサインしていただいて、国連事務総長潘基文氏宛に持参し、世界平和を訴えます。
「アセンションラインを昇る」
アセンションラインとは、一人の人物が「意識の扉」「生命の扉」を開錠していく道筋のことを言います。人生の中の大きな出来事がきっかけとなって一度で開錠するようなこともありますが、多くの場合は、自分と真摯に向き合いながら日常を歩む中で意識の脱皮と昇華を繰り返しながら覚醒状態に向かうものだと考えられます。既に、充実と歓喜の日々の中にいる先達の到達者は我々の組織に4名いると認識していますが、今、自他共にハッキリと覚醒者であると認められるのは、河田百合子さんです。
医師からは既に見放された状態だと聞いていますが、彼女は「生死一如」、いつ天からのお迎えが来てもいいという決意を持って全国を巡り、周囲に元氣と勇氣を与え続ける喜びの中で日々を送っています。マクロ的概念を持ちながらミクロ的な実践をし、絶妙な感性で心理的分析もしながら、その肉体には脳内麻薬とも呼ばれる神経伝達物質「βエンドルフィン」が安定して大量に流れているのでしょう。まさに、河田さんは今、覚醒状態にあるのです。
人生の目的は、アセンションラインを昇ることにあります。
アインシュタインが提唱した特殊相対性理論は、物質の質量とエネルギーが等価であることを表わしています。「E=mc2(Eはエネルギー、mは質量、cは光速)」。この公式から、1グラムの物体は約2万トンの0度の水を沸騰させるエネルギーを持っているということが導き出せます。これを、哲理・哲学で転用し、覚醒者が各人への導入し、それを学ぶ者が能動的に日常生活を送る中で意識構築のために活用できれば、SPC哲学の要諦である「ザ・マスターキー『Ⅲ』」を根拠として、世界70億余の人々に対峙できる、確信ある生活者が生まれ、育まれるに違いありません。
人は互いに影響し合いながら魂を磨き合うことで、意識を成長させていけるのです。そしてそれは、何か特別なことの中ではなく、日常の中にこそ、アセンションラインは用意されているのです。