我々人類は、特に近代から現代にかけて、無意識的な「物心の追求」により、生命としての健全さとは乖離した、偏った成功と思われるものを手にしてきた。今日の科学の発達は、人体の解明をはじめ、まるで地球の全環境さえ支配しているかのような錯覚の中、坂を下る雪だるまのようにエゴを膨らませ続けながら、破壊に向かって突き進んでいるかのように見える。


 特に、日本人はこのたった数十年の間に、生命の勢いを急速に失いかけており、ストレスによるものが原因と考えられる病に多く冒されている傾向にある。


 私は、理容師のライセンスを取得し、それを職業として以後50年余りを過ごしてきた。自己の覚醒や研鑽、組織作りなど数々の経験を通して、自らの哲学を学び究めてきた結果、現在の人災とも言える環境破壊の原因は、人類の意識の中にあるということを解明した。ここに、全人類が本質的に希求する意識の在り方を開錠、開示する。


 21世紀に入っても戦争が終わることはなく、あたりまえのように自爆テロが反旗を主張する手段として使われている。


 地球の温暖化は海流の変化と異常気象をもたらし、生態系にも大きな異変が現れている。

 人類の間違った欲望が原因となり、その結果として人間界のみならず、今や自然界にまで異変が積み重なっている。このままさらに10年、20年とこれが続いていくとするならば、この地球の未来、それも極近い未来は全く不透明なものであると言わざるを得ない。


 人類の、主として国家的に力を持つ者達は、現状、この大きな課題に対して、当面的対処もしくは局所的対処にとどまっている。なぜならば、この状態の原因と結果を、目に見える現象として科学的にのみ対処しようとしているからである。


 最も優先するべき対処方法は、この異常が起きていることの原因、根拠に対してしっかりと向かい合うことを67億余の人類が自覚する以外にないと言える。今、人類が直視しなければならないものは、「物心の追求」の為に捨て、忘れ去られてきたものである。


 「生命の尊厳」「生命への畏敬」という二つだけの概念思考が、短絡的に「物心」「2」を追い求めるのである。従って、今日迄自然界の摂理と確実に同化し得る哲学や論理は創造されていない。


 人間は例外なく「聖なる働き」と男女の合体を以ってここに生存している。つまり、「抽象界」の聖なる働きのもと、「具象」としての男、「具体」としての女によって、この三次元の世界で「生命の讃歌」を享受しているのである。この「抽象」「具象」「具体」を以ってこれを「根拠法」という。当哲学の根拠はこのマスターキーとしての「3」である。


 マスターキーである「3」を根拠とし、人類は、母体への受胎を原因として、十月十日の胎内育成期間を経て、その結果、十全な新生命の誕生を見るのである。このことを充分に認識した上で、今この地球上に生きている全人類は再度、「生命の尊厳」「生命への畏敬」そして「生命の讃歌」、この三つを再認識しなければならない。地球の蘇生はそこから始まらなければ、成し遂げるのは極めて難しいと言える。


 人災を原因とする現在の地球環境の破壊は、「物心」「2」の概念や、短絡的思考の在り方、やり方に無理があるために起きている。「脳の活用」と「心による納得」という、地球生命から見れば、非常に危険な概念と思考が国家を越え、圧倒的な数の人々を蝕んでいると言える。


 

当哲学を根拠として、全世界67億余人を生命の安寧と世界平和に向けて誘導する。67億余人を「一人」(いちにん)として括り、その「一人」に光を当てて対峙するのである。全ての「一人」が秘めている「生命の扉」を開錠する。「生命の扉」とは、インドのヨーガ思想でいうところのチャクラ、東洋医学に於ける関元穴、「丹田」を中心とした概念である。


 「生命の扉」を開錠し、「一人」の人生の本来の目的である「歓喜と充実」を、その日常生活の中で掴めるようにするのである。歓喜と充実を確実に日常生活に位置させるための方法として、一番肝要なことは常に、「上位概念から入る」ということである。すなわち、俯瞰力、鳥瞰力といわれる規範的概念を「一人」が保てるようにならなければならない。 


 ユネスコ憲章の前文に「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」という一文がある。全ての争いは、「一人」の未成熟な意識から引き起こされるのである。


 マスターキー「3」を具体的に象徴し、可視化したものとして、ここに「三本旗」を用いて「一人」の意識改革を行う。この「三本旗」が当哲学の規範的概念である。


 三本旗の一本目は「国際連合旗」である。


 国際連合旗は1947年に開催された第2回国際連合総会に於いて制定されたが、全世界の平和を目的として掲げられたはずのこの旗を、国連参加国でさえも自国のエゴを主張するための「武器」として利用している場面に遭遇する。国連旗は、平和の象徴であるが故に、決して各国家の要人達だけのものではない。この旗は、全世界「一人」のものである。

 二本目は「太陽と情熱の仲間」の旗である。



 この旗には、赤い日輪の中に長い髪をなびかせた女性の横顔が描かれている。その髪の様相は「3」を表している。1966年に広く大きな社会参加を開示した仲間達が、叡智を掲げて採用したブランドの象徴と言える。このシンボルを掲げてから40数年が過ぎたが、その意味するものは曇ることなく輝き続けており、「一人」の意識の中心に据えるべきものであると位置づけたい。


 太陽は、地球を生成発展させる原動力である。そこに描かれる女性は生命を産み出す母胎の象徴であり、全ての人類は自らが向かう道として、この旗を「太陽への道」と掲げ、世界が一体となって平和へと歩むことを誓うのである。


 三本目は「曼荼羅」の旗である。


 この旗の中心の描かれている「曼荼羅」は、仏教で見られる曼荼羅と同様に「総て」を顕している。人として抱く、思考、概念、情緒などを象徴しつつ、それを極めて合理的に構築して見せているのである。これを常に意識に置くことは最も重要である。


 この三本旗に対する「一人」の熱い想いが世界の改革を成さしめる。


 マスターキー「3」は、「天も頷き(抽象界)、他者も喜び(具象界)、己も良し(現象界)」を基本概念として示している。「3」によってのみ、蘇生力、創造力のある「一人」を再生することができる。問題の「的」を客観的に的確に見つけ、己の中へと取り込み、浄化し、良きものとして世界へと解き放つことができる「一人」の誕生である。


 人災を収めるのは人類にしかできない。この地球を次世代に引き継いでいくために、今ここにいる我々は、自ら意識改革に真剣に取り組まなければならないのである。