古屋敬多です!
ミュージカル「FLOWER DRUM SONG」千穐楽まで応援ありがとうございました!

たくさんの要素と対比を織り交ぜたストーリー。美しくて楽しい衣装。
ロジャース&ハマースタインの音楽はDNAに刻まれてるみたいに無条件で心が躍り耳に残るものですし、素敵なところをあげるとキリがないくらい、本当に素晴らしい、もっともっと沢山の人に届けたい作品でした!

振り返ってみると、ミュージカルは普段と発声や歌い方が違ったりして不慣れな部分が多い中、ダンスだけは心配ないというか自信があるのですが今回のチャイニーズオペラ、京劇というのはこれまでのダンス歴では触れたことのないような動きでとても苦労しました。
ひとつひとつの所作が緻密で、簡単そうに見えてこれを丁寧に美しく踊ろうとするのは至難の業なのです。意外と!
父であるワン・チー・ヤンがこの歴史と文化をなんとか残したいと拘るのにも納得です。反面、これを無理やりやってたら逃げ出したくなる息子の気持ちにも納得 笑”

そんな僕が演じるターですが、皆さんの目にはどのように映ったでしょうか?
詳しい人物像などはここでは割愛しますが、メイリーはなんでこんな男を好きになったんだと思った人も多いのではないかと思います。
僕も九州男児ということもあり、何事にも動じず地に足をつけてビシッとしているのが理想なので、リンダとメイリーにふらふらしているターには「おいおいター!はっきりしろよ!」と思うところもあるのですが笑"、ポイントとしては

「マフラー巻きな、サンフランシスコの夜はぐっと寒くなる」

僕が"寒くなる"を訛ってしまって苦労したセリフのひとつです笑"。これはターにとって何気ない気遣いの言葉だけど、あの激動の時代にメイリーが今までに受けてきたものに比べて、アメリカで育ったターの欧米人的な態度や振る舞いはメイリーにとっては急速に心惹かれるくらいの優しさに感じたんだと思います。
ましてや見た目は同じ中国人のターからその言葉が出たら特別に優しく感じたのかなと。

ターはターで生まれ育ったのがアメリカで中身はアメリカ人なのに見た目はやっぱり中国人で、かといって言葉ができなかったりと中国人にもなりきれない。
自分のやることにいちいち理解のない父親は中国人の誇りを持てという。さぞ居場所がない思いをして、自分はどっちでもないという意識があったんだろうなと思います。そこにメイリーが100%両方と言ってくれたことで自分を見つけられたところがあるのかなと。
「フラワー・ボート・メイデン」のように彼女に見つめられたおかげで自分の正体を取り戻したんやね。
ターが自分の気持ちに向き合って本当に大切なものに気が付くのは時間がかかったけど。
最後にはしっかり自分が何者であるか、何者でありたいかを見据えて歩き出したのでしょう。

そんな風に色々と考えれば考えていくほど、この作品のテーマと台詞ひとつひとつが今の自分と重なる部分が多く、具体的にはFCブログのほうで触れていますが、例えば「新しいものを始めるときはまず古いものに向き合う」という言葉はデビュー20周年を迎える身としてとても胸に刺さるものがあったり、改めて心に刻んで大切に持っていたい言葉ばかりで、そういった意味でも思いが深い作品になりました。
改めてミュージカル「FLOWER DRUM SONG」に関われたことを光栄に思います。

最高のカンパニーフルキャストでまた出会えることを一億の奇跡に祈ります!
本当にありがとうございました!