今日の内容は、悲しいお話。

 

離婚のあと母は

今までバリバリ働いていた営業職を辞めて

山野草とか高山植物を販売するお店で働きだした。

元々お客さんだった母にオーナーさんが声をかけて

一緒に働くことになった。

 

珍しい植物を扱うお店で、

通のお客さんが多かった。

 

オーナーさんは複雑な家族環境で

身寄りがなかった。

家にも来て話をしたり

夕ご飯を一緒に食べたたりするようになった。

母との信頼関係は深かったと思う。

母が楽しそうで

穏やかで

良かったなあと思っていた。

母自身もこのまま二人で老後を過ごしていくのかなと

言っていたことがある。

 

そんな穏やかな日々のさなか、オーナーさんが病気になってしまった。

手術のため、治療のために入院が必要になった。

母は相当ショックを受けていた。

さらに収入が途絶えることとなり、

私に言った。

 

あと3ヶ月しか生活できるお金がない

 

と。

 

母はバリバリ働いていたから蓄えがあるのだと思っていた。

私は焦った。

どうしよう。

車を売ろうか

バイトをしようか

そんなことしか思いつかなかった。

 

母はその後、鬱になってしまった。

その時に私は強烈に

お金がないことの怖さを体感した。

 

オーナーさんは帰らぬ人となってしまった。

 

母は相当不安定な状態だった。

私が仕事に行く前に手を握り

「ごめんね、ごめんね」と泣いて謝られたこともあった。

帰ってきたら生きていないんじゃないかと

不安でたまらなかった。

一緒に病院に行ったりもした。

 

自営をしている叔母夫婦が、

母のことを引き取って面倒をみてくれることになり、

簡単な仕事を手伝いながら

母はゆっくりゆっくり回復していった。

その後、自宅へ帰ってきた。

 

しばらくして母は

私にこう言った。

 

お父さんとやり直そうと思うの。

 

と。