「自分と歳がそんなに違わないのに。」

鈴木先生から送られてきた今回の案内メールを見てそう感じた。半分は期待感、正直半分は「うまくいくのかな」というお節介な思いもあった。水野さんは研究会史上最年少のゲストだと言う。

しかしそんな思いも水野さんのお話を聞き終わった頃には満足感と高揚感へと変わっていた。同年代の人間として、同じ地方出身者として、尊敬の念を抱かずにはいられなかった。淡々と語られるその一言一言からは自信や信念といったものが感じられる。地元にUターンしたことに全く不安や後悔がないことが伝わってくる。

 一流の大学を卒業し一流の企業に就職する。正に順風満帆とも言える水野さんの将来を変えたもの、それは地元を愛する心だった。私も経験があるが上京した多くの地方出身者は地元を卑下してしまう。しかし日本は地域によって歴史、風土、伝統、文化は異なり、それは多種多様でその土地でしか味わえないものがたくさんある。岐阜にも「水うちわ」があった。時代の流れなのか衰退傾向にあった水うちわを復活させようと水野さんをはじめ多くの若者が立ち上がり、その活動は幅を広げ岐阜の活性化に向けて大きく動き出している。水野さんのお話を聞いていて気づいたのは、やはり地域の伝統や文化はその地域で育った人間が受け継ぐのが一番であるということだ。地域のことは地域の人間が一番知っており、そこにかける愛情や情熱は計り知れない。特に水野さんのように一度故郷を離れ生まれ育った場所を新たな視点から見直せて、なおかつそれを実際に行動に移す、そんな若者が増えれば日本の地方はもっと活性化するだろう。

 そのための「Uターン」。それが実は地方にとって大きな意味を持つのかもしれない。しかし実際にこれを実行する、もしくはできる人は果たしてどのぐらいいるのだろうか。私も地方から上京してきた人間として地元に帰りたいという思いはある。しかし、同郷出身で東京に就職した友人達から発せられる言葉は「地元に帰っても職がない。」「田舎は不便だ。」等ネガティブなものばかりだ。もちろん地元を愛する若者も大勢いるが、帰れない者もいることも事実である。近年特に大都市と地方の格差が叫ばれているが、大都市に人は吸い込まれ、拡大を続け、またさらに人を吸い続ける。一方で地方は若者が減り続けている。地方から見れば悪循環ともいえる現象が続く。

 この流れに待ったをかけるように水野さんをはじめとして岐阜では若者たちが様々な活動を展開し、新たな風を吹かせている。この風が全国各地で吹き始めると日本は大きく変わるかもしれない。


明治大学大学院1年 佐藤 将一