「引っ越し50回」。この話を聞いたときになんて変わった人だろうと思いました。しかし、五十嵐さんの体験を聞いていくうちに、まさに引っ越しは重要だと感じるようになりました。引っ越しによって様々な地域をみることが出来、いろいろな知識が身につきます。また沢山の人との出会いが生まれ、多くの交流がうまれます。それによって自分自身に知識、経験、人脈、など様々なものが蓄積されていくのだということが、五十嵐さんのお話を伺って、実感できました。
悪いところもあるけれど、良いところもいっぱいある引っ越しですが、それではなぜ日本においてはもっと活発に引っ越しがされないのでしょうか?それは五十嵐先生が指摘されていた様にシステムの問題が大きいと思います。日本においては近年古民家が評価されつつありますが、中古住宅市場が活性していないというのが大きな問題なのではないのでしょうか?家を建てるのはかなりの労力と資金を必要としています。しかし、日本の現状においては一度建てた家が20年、30年と経つと建物としての価値を失い、土地だけの価格で評価されてしまうという問題があります。この家が資産のストックにならずにフローになってしまうという現状を何とかしない限り引っ越しが活発になることはないのではないのでしょうか。中古の住宅がストックになるようになれば、きっともっとみんな家を大切にするようになるでしょう。そして、いつでも売れて、いつでも買えるようになればもっと気軽に引っ越しできるようになると思います。気軽に引っ越しできるようになったことで、日本中で五十嵐さんが体験された様な出会いや経験が出来るようになり、それが日本の活性化に繋がるような気がします。
沢山の人が引っ越しをするようになったら、誰が伝統や地域の文化を受け継ぐのかという問題があります。しかし、それは過疎農村、伝統文化の後継者不足など現状においても起こっている問題です。沢山の地域を見ることによって、自分が本当に住みたいと思う地域、やってみたいことがみつかり、そういった問題がむしろ解消されるようになるのではないでしょうか?土地にしがみついて、見えなかったことも、色々な経験をつんでいるからこそ、歴史や伝統の重要性が改めて理解できるということがあると思います。
交流会の最後に私は五十嵐さんに「引っ越しの場所を決める最大のポイントは何ですが?」と質問したところ「雰囲気がいやではないところ。それは人としてあたりまえに感じること」というお答えでした。忙しい生活や一地域で固執してしまい、「人としてあたりまえ」の感覚が薄れてしまっている人の多い現代においてあらためて考えさせられるお答えでした。私自身も「人としてあたりまえ」の感覚を失わず、研ぎ澄ましていけるように努力したいと思います。
最後になりますが、貴重なお話をしていただいた五十嵐さん、貴重な場を用意してくださった鈴木先生、本当にありがとうございました。節目の50回を越えたLDですが、ますます盛んになることをお祈りいたします。
山梨大学大学院 菊山 幸輝