北海道出身の有山忠男さんは、北海道大学を卒業後、日本観光協会に就職したが馴染めず、その後Uターンし北海道でライブ環境計画を設立・入社した。そこではリゾートや農業、建築などを扱っていた。そしてその仕事をしていくうちに、北海道の景気を環境分野で良くしたいと考えるようになった。また、それは北海道に最初からあるものででき、地域住民も参加できるものにしたいと考えていた。

 有山さんは、1998年当初、国土審議会の専門委員だった川勝平太氏に影響をうけている。川勝さんとは、1998年に策定された「国土のグランドデザイン~美しい国土の創造~」を提唱し、それまでの経済効率優先だった国土開発を大きく転換させた人である。有山さんは、「きれいな水に恵まれたガーデンアイランドとも呼ぶべき日本の国土は、亜寒帯から亜熱帯まで広がる地球的生態系の縮図である」「厳しく脆弱な環境で培われた国土づくりのノウハウを持つ技術者集団は世界の宮大工として、世界に貢献することが可能である」という川勝さんの構想に大きな共感を覚え、この構想こそ北海道が率先して取り組むべきテーマであると感じた。

 そこで2004年、正式事業名称を「ガーデンアイランド北海道2008」と決定し、北海道を花と緑の島にすることを目指した。身近な自然や、花や農村景観をもっと活かし、花と緑で北海道を活性化させようとするものだ。活動としてまずは、道内でフォーラムを開催し運動を広めている。また、JTBとタイアップしGIH(ガーデンアイランド北海道)モデルツアーを実施したりと、環境・旅行業界にも働きかけを行っている。他には、独自の審査基準を設けてコンクールを開催し、多くの人に興味を持ってもらえるような工夫をしている。そして来年2008年には、登録された全道の会場(ガーデン)を網羅したGIH公式ガイドブックの「ガーデンブック2008」を作成、配布する。また、それぞれの会場をつなぐ、GIH]独自のスタンプラリーも実施する。

 有山さんは、ニュージーランドやカナダなど、外国のガーデニングに憧れていると感じた。何のカメラの技術が無くても綺麗な風景が撮れると言って見せてくれた、有山さんの撮影した写真には説得力があった。しかしそれだけではなくライバル視もしていて、環境は似ているが、北海道はまだ人工的なニュージーランドとは違い自然がたくさん残っている、と話していた。外国の成功している部分を参考にし、悪いところは改善して、北海道にしかできない、外国の真似ではない独自の個性ある風景を作って欲しい。

 また、札幌駅に花を植えた写真を見せ、ただのコンクリートだけの場所に花を植えるだけで、風景が全く違って見えることも教えてくれた。しかし、1,2週間置きに花を植え替えているということで、まだ生きている花をそのまま捨ててしまうのか、花がかわいそうだ、という批判もあった。私は、それならば駅をガーデニングの好きな人達が一生懸命育てた花を見せるための場所にしたらどうかと思った。それならわざわざ花を買う必要も無いし、育てた花をたくさんの人に見てもらう楽しみにもなる。また、自分で育てた花なので、期間を終えたらまた家で植え直すと思う。住民参加とは、そういうことだ。行政が資金援助をしないのはおかしいとも言われていたが、行政に頼っていたら何も変わらず、これまでのままだ。

 有山さんはこれまで25年間、様々な北海道の可能性を研究してきた。例えば、冬季の公園利用がある。北国の公園は雪捨て場になっていて、公園として利用されていることがあまりない。そこで、雪山を作ってゴムチューブで滑って遊べるようにしたり、犬ぞりやカーリング、歩くスキーができる会場を作った。歩くスキーは、有山さんがフィンランドを訪ねた際、たくさんの人がやっているのを見て、北海道でも広めようとしたがいまいちだった。他には、オートキャンプ場の設計がある。キャンプ場で下水道や電気、テレビまで見られるようにしたのだが、テレビは必要なのかといったことでかなり批判を受けた。他にも、ファームインやフットパス、しりべしiネットなど、外国から影響を受けたものが多い。

 今回の講演を聴いて、有山さんは本当に北海道と花が好きなのだと感じた。広い北海道全体を動かそうとしている。しかし、理想だけでなく現実をしっかり見極めることが大事だとわかった。これからどんな時代になるのか、本当に必要なものなのかを考えて計画を進めなければいけない。また、町づくりの大変さも感じた。良いことだと思ってやっても、失敗するとマスコミや住民の批判を受けてしまう。町づくりは難しい。どこかの真似になってもおもしろくない。住民一人ひとりに目的を理解させなければならない。いつも歩道の花の前に車をとめている人が居て、花が枯れてしまった、と有山さんは笑い話のように言っていたが、ショックだと思った。ひどい人も居ると感じた。北海道が、有山さんが目指す花と緑の島になるにはまだ時間がかかると思う。しかし参加者が増えていることから、少しずつ運動が広まっていることがわかる。これからも、私たちが今抱いている広い大地が広がっている北海道のイメージを崩すことなく、ガーデンアイランドを目指して欲しい。 

江戸川大学社会学部ライフデザイン学科2年 駄賃場 桃子