前研究会で御紹介にあった石見銀山の様に、日本には宿場町や茅葺建築など、世界のまちと比べても見劣りしない素晴らしい文化がある。今の日本に必要な事は、何かを新たに作る事よりも古き良き伝統を残していく事ではないだろうか。そもそも明治時代辺りまで、日本の町並みは現在ほど脱線したものではなかったと思う。敗戦や高度成長期を経て暮らしは少しずつ豊かになってきたが、現在はセレブやらヒルズ族やらと個人の生活利便性や経済第一の考え方が広まり、何やらよくわからない方向へ迷走している様に思える。僅か50~60年の間に景観は随分と変わった。そろそろここらで軌道修正しておくべきだと思う。

現在のヨーロッパと日本のまちを比較して、住民の意識が随分違うと感じた。まちの広場を壊してはならないルールや、建物の外観が地域で統一されている事等、景観に対する意識水準が高いのではないかと感じた。今回の研究会で紹介されたまちの写真を見てみても、建物のベース色を白にすることから始まり、カラフルな有彩色系はあまり使われていない。また、看板やロゴの数も必要最小限に抑えられている。現在の日本のまちは欧米風の建物が増えてきたが、色調もバラバラでまちの景観もごちゃごちゃしている。

そもそも日本人の美意識は欧米人と違っていて当たり前である。物真似して同じような建物を造っても、それが日本人の美意識に心底合致するものだとは思えない。あくまで異文化は参考にする程度にして、日本独自のものからアレンジを加えていく事が今必要なのではないかと思う。技術だけを持ち帰り、本質から外れてしまったのが現在の道路状況である。

私が生まれてきた時から舗装道路は存在していたため、全く疑問に思わなかったのだが、今回の話を聞いて日本の目茶苦茶ぶりがよくわかった。道路の主軸として幹線道路があり、各地区、住宅へと配備されていく。しかし、幹線道路沿いに建物があるのが日本の現状。そのせいで自動車も安全のためスピードが出せなかったり、渋滞になったりと悪循環に陥ってしまう。ヨーロッパで逆都市化現象が起こる背景に、道路の効率性の良さがあり、この効率性の差が日本の過疎の一因にある事を知った。これから海外から輸入されてきた技術やものを見る時はその背景に着目するよう心がけたい。

ただ、日本が目茶苦茶であまりに見苦しいものだとは思っていない。今の状態はあくまで過程だと思う。以前多摩ニュータウンや浦安のまちを見に行ってきたが、ゾーニング整備等の試みがなされている。人生の過程に挫折が付き物の様にまちづくりも失敗を積み重ねてシステムや景観整備がされていくものだろう。

江戸川大学社会学部4年 浅井 真人