20034月にローカルデザイン研究会がスタートしてから、55回、6年目の春を迎えます。これまで北海道から沖縄まで職業も立場もさまざま、学生は約30大学から、延べ2500人を越える人が参加しました。

 この間の社会の変化には驚くべきものがあります。平成の大合併により、20034月、3190あった市町村が、20084月には1788と、約1400以上の市町村名が消えていきました。また、グローバリゼーションが日常の生活の中に溢れだし、激しい競争社会の中で、首都圏と地方圏との格差やさまざま対立構造が現れ、新しい社会の秩序やあり方が求められています。

全国や世界を歩いてみますと、高度交通網の進展により人の移動が活発となり、インターネットの普及により、コストをかけずに世界中とコミュニケーションを即時に行なうことができるようになりました。モノの移動も宅配便などの発達により、国内はどこでも、国外へも障害が少なく送れるようになってきました。

しかし日本の現実は、地方圏の経済的な疲弊は激しく、少子高齢化は進み、若者の人口減少が止まりません。人口減少は、学校や病院等の統廃合、耕作放棄地の拡大、商店街の衰退、増加する限界集落に象徴されるように、築いてきた地域社会の継承ができなくなっています。

こうした地域社会の課題は山積し、行政や市場の力だけでは解決できず、地域コミュニティ活動やNPOが 地域の課題解決に参加することが多くなりました。こうした新たな公の誕生から、多くの成果も見られるようになってきました。いかなる時代にも社会の課題はあり、厳しい現実に逃げないで、新たな価値を創造し立ち向かう勇気をもった人は魅力的です。この視点に立てば、ローカルは限りなく力強く面白く、興味深いのです。

「ローカルデザイン」とは、地域に眠る様々な文化資本の質を高める手法のひとつ。景観や産物の形態デザインにとどまらず、より豊かな暮らしを求める人々の自然を観る力、創意工夫や格闘、ユーモア、そこから生まれる人の営み、プロダクツの中に現れてくる力強い地域個性の凝集・表出作用のこと。グローバリゼーションによる「世界の均質化」が問題になっていますが、真の「グローバルデザイン」とは、「ローカルデザイン」の「質」と「オリジナリティー」を世界が認めたもの。ローカルデザインを強く意識することで、様々な新しい発見・創造から始まり、地域全体のデザインを品質のよいものへと磨き上げることでブランドとなり、経済的に自立した地域づくりも可能となると定義できます。

日本を知りたい。この意欲を核にして、さまざまな立場や価値観を持つ人が、違いを認めあって集まれる社交の場が必要だと考えて、このローカルデザイン研究会を作りました。

会を運営する学生たちにも大きな影響を与えています。若者がこの会を通じて、地域で活動するチャンスを得て、山梨県北杜市須玉町津金地区のNPO文化資源活用協会との情熱のある交流活動も5年目を迎えています。

会は「地域」がテーマですが、それだけにとどまらず社会をより深く理解するために必要な話をしていただける人をゲストスピーカーとしてお招きしています。地域で活動している人が上京したとき、あるいは学ぶべき現場に、機会を逃すことなく出かけることもしていきたいと思います。会を重ね、運営方法は参加者の自発性へと変化し、中心のないネットワークへと新しい繋がり型へ移行しつつあります。地域への思いや考え方を伝え情報発信する場、さらには地域の活動に対する理解者や協働者と出会える社交の場として、今年からは、誰でもこれはと思う人をゲストとして紹介できる、参加者の自発性を尊重したスタイルで進めていきたいと思います。

この研究会が、東京圏で地域を結ぶ、枠のない対流の場となればと願っています。


         研究会世話人 鈴木輝隆(江戸川大学)代表

               岩瀬忠篤(内閣府)

               斉藤哲也(財・日本総合研究所)

               塩谷未知(価値総研)

               戸矢晃一(エディター)

               中根正義(毎日新聞社)

               山路恭之助(NPO文化資源活協会)