22回 2005121日(金) 香山篤美 長野市松代町NPO法人「夢空間松代のまちと心を育てる会」事務局長 


合併をしてダメになった町と言われていた長野市松代町が、合併しても元気になった町と、住民自治の成功例として評判となっている。「合併は町の個性を消してしまう」。小さな町は大都市と合併すると、事実、活力は失われるようだ。こうしたことを、松代町はどうやって好転させたのだろうか?
 松代町は歴史的な文化財に恵まれていて、ほとんど昔のままの姿で、現在も使われている松代藩の文武学校や、長野県最古の木像が残っている清水寺など歴史的に価値のある史跡が点在している。点を線にしたのは、小学校を囲む金網を「土塀」に復元し、歴史的を感じる道を実現したことだ。こうした点を結び、松代町の散策ルートは作られていった。
 住民にできる事は住民の手でやっていこうと結成されたのが、NPO法人「夢空間松代のまちと心を育てる会」である。活動を通じて知ったのは、自分の町のことは表面的なことしか知らないということだった。町を仲間と散策し、調査してみると、新たな発見の数々・・・それが町の資源だと気がついた。
調査を元に、由緒のある個人の家の庭を公開し、拝見させていただく「お庭拝見」や、38軒ある寺のスタンプラリーを企画し、多くの参加者を得て人気を博する。寺ごとの記念スタンプのデザインを地元の高校美術部に依頼し、世代を超えた地元の関心を生み出している。また、4年間かけて、発見した数々の魅力的な散策コースを編集し直し、まとめたのが「信州松代町 夢空間めぐり」。分かりやすく楽しいデザインの地域情報誌は、1500部が1ヶ月で売切れてしまったほどだ。
松代町の市民自治とは、だれでもが気楽に意見が言える肩書きは関係なく議論できる空間を持つこと、専門家のサポートを受けて自分達の歴史や文化を知ること、行政への提言による協働事業の存在などを指摘した。市民自らが地域の課題を発見し、行政に活動プランを提言し、共に事業に取り組むことで、住民の町への誇りや中心街の活性化を生み出した。小さな松代町が、中心部の長野市民を巻き込んでしまおうというポジティヴな考え方が、資源がありながら注目されなかった松代町を活性化させることになった。2004年には、「エコール・ド・まつしろ」(フランス語で松代学校)という生涯学習と文歴史化を学びたい遊学客をターゲットにした、まちづくりを行政と一緒に実施し、訪れる人を急激に増加させた。
NPO
法人夢空間のほかにも、40代の主婦達が特産品をPRしようと結成された「ホイサッサ松代」や、中心商店街の空き家を活用し福祉を行う「輝きネットワークわっしょい」など多くのボランティアグループが誕生した。住民も行政もやる気にさせる共通の意識を醸成する、NPO法人夢空間の事務局長の松代香山篤美さんの話は私を爽快な気持ちにさせた。         (内田 匡哉)