12 下垂体の異常 | レディースクリニックつねざわ【福井市・福井駅東】産婦人科

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これからは、下垂体の異常による無月経の話です。
まず、ホルモン検査について

「婦人科とホルモン」で視床下部・下垂体・卵巣系の調節機能を説明しました。
視床下部と下垂体の働きが悪くなると卵巣が働かなくなります。


下垂体機能を調べる3つのホルモン検査
 無月経の患者さんに対して最低限調べておくべきホルモンは、TSH、プロラクチンとFSHの3つです。いずれも採血して測定します。
1. TSH(甲状腺刺激ホルモン)
 TSHを測定することによって甲状腺機能をチェックします。TSHは高すぎても低すぎても月経異常の原因になります。

2. プロラクチン
 プロラクチンの値が高くなると排卵障害の原因になります。詳細はもう少し後で。

3. FSH(卵胞刺激ホルモン)
 もし、卵巣の働きが最初から悪かったとすると、卵巣から出るホルモン(エストロゲン)の量が少ないので、フィードバック機能が作用して、下垂体からはゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン、FSHとLH)がたくさん出ます。
 エストロゲンの値が低くてゴナドトロピンの値も低ければ、悪い部分は視床下部か、または下垂体です。ゴナドトロピンはFSHとLHの2種類ですが、通常はFSHだけ測れば十分です。

エストロゲンが低くてFSHが正常の下限の場合、視床下部・下垂体は正常?異常?
 エストロゲンが低くてFSHが正常の下限(~正常)の場合、視床下部・下垂体機能は正常でしょうか?答えはNoです。もし、卵巣の働きが悪いのが原因ならばFSHは高くなるはずです。FSHが高くなくてエストロゲンが低いということは、視床下部・下垂体の働きが悪いということを示しています。


下垂体の異常による無月経の原因として多いのは下垂体腺腫という良性腫瘍です。下垂体腺腫については、もう少し後に説明します。

直径1cm以上の下垂体腺腫がみつかったら
 MRI検査をして直径1cm以上の下垂体腺腫がみつかった場合、上記のホルモン検査に追加して以下のホルモン検査を行います。
1. 遊離T4
 遊離T4が低くTSHも低値(~正常)ならば、下垂体の異常による2次性の甲状腺機能低下を疑います。遊離T4とTSHが共に高ければTSH産生下垂体腺腫による甲状腺機能亢進を疑います。
2. IGF-1
 下垂体で成長ホルモン(GH)が正常に作られているかどうかをみるためには、GHを直接測るのではなく、IGF-1というホルモンを測ります。IGF-1はGHの刺激を受けて肝臓で作られるホルモンです。成人のGH値は不安定なので、過剰か過少かの判定に向いていません。
3. 早朝コルチゾール
 下垂体での副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が不足すると副腎でのコルチゾール産生が減少します。副腎機能をみる検査はいくつかありますが、早朝(午前6時~9時)のコルチゾール測定が簡単です。

次回は、下垂体腺腫についてです。