
GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)の続きです。
GnRHはユニーク
1. GnRHは同時に2つのホルモン(LHとFSH)を調節します。
2. GnRHは波状(パルス波のよう)に分泌されることで効果を発揮します。
GnRHはパルス波のように出ます。体の中で他にこのようなホルモンはありません。月経周期の前半は90分周期、排卵前に60~70分周期、排卵後また周期が100分にのびて、月経前には200分周期くらいのゆっくりリズムになります。GnRHの測定は難しいので、代わりにLH(黄体形成ホルモン)の出方を測定します。FSHを測ってもよいように感じられますが、FSHは血液の中に長くとどまる(半減期が長い)のでパルス測定には向いていません。下の図は月経周期でのLHのパルス波の出方をイメージできるように書いたものです。前半、特に排卵前に頻回に出て、排卵後ゆったり大きく出てきます。

排卵前にパルス波のリズムが早くなります。
実は、月経前にパルス波のリズムが遅くなるのは重要で、こうなることでFSHが増えてきて、次の周期の準備をする役目を果たしています。
GnRHを持続的に作用させると?
さて、GnRHをパルスではなく持続的に作用させるとどうなるでしょうか?
下垂体のゴナドトロピン(LH、FSH)産生細胞の表面にはGnRH受容体があります。GnRHがパルスの時間間隔で受容体にくっつくことで細胞が刺激されてゴナドトロピンが分泌されます。ところが、GnRHをずっと持続的に作用させると受容体の数が減ってゴナドトロピンの分泌も減り、結果的に卵巣から出るべきホルモンも減ってしまいます。
治療に応用
GnRHは、たった10個のアミノ酸からできている単純な構造のタンパク質(ペプチド)です。普通のタンパク質はアミノ酸が100個とか数100個とかあります。10個のアミノ酸のうち6番目と10番目のアミノ酸を少し代えて出来上がったのがリュープロレリンという薬です。この薬を投与すると、最初一時的にゴナドトロピンが増えますが、GnRH受容体が減り、続いて卵巣ホルモンが減って閉経後のような状態になります。この働きを利用して、子宮筋腫や子宮内膜症、早発思春期、ホルモン依存性のガンなどの治療や排卵誘発のコントロールに用います。

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