ヒロキです
サカエスプリング来ていただいた方々、ありがとう
数あるライブハウスで多くのバンドが出ている中、僕らを選んでくれてありがとう
おかげで入場規制かかったらしく、見てもらえなかった人はまたの機会にお願いします
でも名古屋は８月にまた来ますので、よろしく
真っ白な世界は天国のようで、反対にそれは現実的に地獄だ
僕は焦り
「真っ白なんですけど」
と、女性スタッフに告げた
声だけでちょっと怒っていることがわかるトーンで
「開けないでください」
と、注意された
そんな中、真っ白な世界の淵に少し日常が映った
それは数十メートル先の非常出口の看板だ
以前なら裸眼では読めるはずのない距離にある文字を僕の目は読み取った
心躍る
そこからはそのワクワクを持ち続けながら行程を覚えていない
手術は終わった
新世界
輪郭がある
見え過ぎて疲れる
でも嫌じゃない
そんな気分に酔いながら僕は泳ぐようにクリニックを出た
しかしやはり目の負担は僕の想像を超えていた
何をするにも光が痛い
太陽、携帯の液晶、蛍光灯
光という光すべてが僕の目を刺激する
僕は梅田のど真ん中で目を開けられず、座り込んだ
電車で帰るどころか、歩くこともできない
僕はやっとの思いで携帯に入っている弟の番号を探し、電話をかけた
弟には迎えはいらないと言っている手前、迎えに来てくれとは言いにくいと思うかもしれないが、この時はそのことすらも忘れていたほど、痛みとの戦いだった
待つこと１時間
車で弟が到着
その車に向かう僕も覚束ない足取り
助手席に倒れ込み、実家に着くまで目を開けることはなかった
その頃には夜が訪れていた
部屋に入り、ベッドに潜り込むことしかできない
布団は顔に覆いかぶせた
しかし寝れない
目をつむっていても流れる涙
たまに鳴る携帯を開けることもできず、メールは返せない
ましてやテレビも見れない
この世の光を恨んだ
そして気付けば朝
目の疲労からか、精神的な疲労からか
なんだかんだ知らぬ間に熟睡していたのだ
何時間眠っていたのだろう？
今何時なのだろう？
僕は部屋の掛け時計を見た
その時計の針ははっきりと10時45分という半端な時間を指していた